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[レポート]ローカルメディアコンパス体験会【THE HERITAGE TIMES YOKOHAMA KANAGAWA】


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<THE HERITAGE TIMES YOKOHAMA KANAGAWA>では、6月27日の「メディアリテラシーの日」を前に、スタッフのメディアリテラシー向上を目的とした体験型研修「情報発信をするときに気をつけること ローカルメディアコンパス体験会」を実施した。今回は一般参加者を含む10人が参加した。

本メディアでは毎年6月、編集部メンバーを対象としたメディアリテラシー研修を実施している。今年は横浜市中区弁天通のコミュニティラウンジ「benten103」を会場とし、一般参加者にも開かれた形で開催された。

冒頭では、<THE HERITAGE TIMES YOKOHAMA KANAGAWA>の概要や設立の意図について編集部から説明があり、その後、ワークショップカードを用いた対話の時間が設けられた。


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今回使用した「ローカルメディアコンパス」は、情報発信者向けに開発されたワークショップカードであり、メディアの現場での喜びや葛藤、迷い、失敗などをテーマにしたエピソードが記された全50枚のカードで構成されている。

参加者は5人ずつ2組に分かれ、選んだカードをもとに議論を深めた。今回選ばれたカードは以下の4枚である。


  • 「70年前の記憶」

  • 「読者からの『いつも助かっています』」

  • 「見どころを見せすぎた」

  • 「〇〇町の〇〇さん」


「70年前の記憶」では、古い記憶をもとにしたインタビュー内容を記事として掲載すべきかどうかが問われた。参加者からは、発言を括弧でくくって「話者の言葉」として紹介する方法が提案された上で、内容が意見の分かれそうなものである場合には、読者や関係者の受け止め方を想像し、掲載を見送るか、表現を工夫すべきとの意見が示された。

「読者からの『いつも助かっています』」は、読者に記事が届き、喜ばれたエピソードに基づくものである。参加者からは、「その場所らしさ、その人らしさにこだわって記事を書くこと」や、「その結果が『助かっている』という反応につながってほしい」といった意見が語られた。

「見どころを見せすぎた」では、情報を過剰に伝えた記事が、読者の実際の訪問意欲を削いでしまうという課題が共有された。一方で、「映画のネタバレを見てから行く人もいる」「万博ではSNSによって現地の情報が広まり、情報統制が過剰でも良くない」などの意見もあった。<THE HERITAGE TIMES YOKOHAMA KANAGAWA>としては、歴史的建造物という実在する対象に記事が敵うことはなく、むしろ文章や写真によってその価値を最大限に伝える姿勢が求められる。記事は時や空間を越えて残り続けるものであり、現地に足を運べない人にも情報を届ける意味があるとの方向性が共有された。

「〇〇町の〇〇さん」は、本名や住所などの個人情報を公開する際の判断基準を問う内容である。AIの浸透やネット上の情報拡散によってプライバシーへの意識が揺らぐ現状も指摘された。<THE HERITAGE TIMES YOKOHAMA KANAGAWA>では、主に建物紹介を行っており、所有者の意向や状況に応じて場所や氏名を非公開とする選択肢もあるという見解が示された。

ワークショップの後には、最近掲載された記事を互いに読み合い、感想を伝え合う時間も設けられ、関係性やフィードバックの機会の大切さについて共有された。

<THE HERITAGE TIMES YOKOHAMA KANAGAWA>では、今回の研修で得られた知見や取材の中で感じた課題をふまえ、歴史を生かしたまちづくりに特化したWebメディアとしてふさわしい「メディアポリシー」を策定し、同様のテーマを持つ他のメディアのスタンダードとなることを目指していきたいと考えている。

なお、「ローカルメディアコンパス」は、NPO法人森ノオトのWebショップやニュースパーク(日本新聞博物館)でも販売されているほか、使い方についてはYouTubeなどで紹介されている。興味のある方はぜひWebサイト等でご確認いただきたい。

研修会場であるコミュニティラウンジ「benten103」は、令和6(2024)年4月に供用開始された神奈川県住宅供給公社の賃貸住宅「フロール横濱関内」の1階に設けられたまちのラウンジである。地域活性化プロジェクト「KANMATCH」の拠点として、住宅や商業施設の入居者、地域の人々がつながる「新しい都市型コミュニティ」の創出を目指している。運営は関内イノベーションイニシアティブ(Kii)が担っている。


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「メディアリテラシーの日」は、長野県長野市に本社を置くテレビ信州が制定した記念日である。平成6(1994)年6月27日、長野県松本市で発生した「松本サリン事件」において、事件現場近くに住む無実の男性が報道により犯人扱いされるという被害があった。このことを受けて、報道機関のコンプライアンスを再確認する日として、6月27日が記念日とされ、一般社団法人日本記念日協会により認定・登録された。



 
 
 

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