• heritagetimes

[歴湯_03] 七沢温泉「元湯玉川館」

更新日:2020年5月23日



歴湯シリーズでは「銭湯」を中心に紹介していく予定だが、神奈川県内の温泉文化についてもその魅力を伝えるため、歴史的建造物などで宿泊客ではなくとも日帰りで立ち寄りできる温泉も紹介していくこととする。

今回紹介する元湯玉川館は丹沢・大山の東端、七沢温泉にある。七沢温泉は厚木市街地から車で30分、東京からも2時間で着く、都心に近い温泉である。その一番奥に佇んでいるのが元湯玉川館である。 太い梁が印象的な玄関ロビーは東京都町田市から昭和40年代に移築されたもの。そこで、出迎えてくれたご主人に、今から立ち寄り湯で利用できるか確認し(混雑時にはお断りすることもあると言う)、料金を納め浴場に向かう。




ノスタルジックな雰囲気をそのまま残した関内を抜け、渡り廊下を渡ると浴場のある別棟に着く。 浴室は浴槽がひとつと手前に6つの流し場が並ぶシンプルな造りだが、浴槽から天井まで総檜造りで、旅情が掻き立てられる。 湯船に浸かると、目の前に緑が広がり開放感がある。 泉質は美肌に良いとされる強アルカリ鉱泉で自噴泉を加温し源泉かけ流しで利用している。 元湯玉川館は、明治の中ごろ、現在の神奈川県座間市に居を構えていた創業者・山本粂三郎が「医師が常駐し、お客様の健康相談にも応じる宿屋」の創業を計画したことに始まる。その後、知人から玉川村七沢の「元湯」と呼ばれる湯治場が引き継ぎ手を探しているという話があったため、安政の頃より、農業や林業に携わる人々が骨休めやからだ作りに通うほどの「くすり湯」として知られる七沢の湯であれば、当初の計画にも近い「体を休め、気持ちを休めていただくことで、健康な体づくりに役立つ宿屋」が実現すると考え、この地での開業を決めた。明治35(1902)年創業。



浴場もさることながら、玉川館の魅力は風呂上がりの湯上り処=ロビーである。飲み物をオーダーし、古民家の風情、外の景色を堪能できる。漫画のらくろの作者田川水泡や「夕焼け小焼け」の作詞で知られる中村雨紅の作品も置かれている。 今回は宿で取れた柚子でつくられた「ゆずスカッシュ」をたのんだ。甘さ控えめで、湯上りにぴったりだ。喉を潤し、まったりと外を眺めながら湯で火照った身体を落ち着かせて、玉川館を後にした。はだはしばらく艶々していた。



閲覧数:39回0件のコメント