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[歴湯_05]広沢寺温泉「玉翠楼」



厚木市西部、大沢川に沿うように広がる東丹沢七沢温泉郷は、都内からアクセスしやすい温泉郷として親しまれてきた。令和2(2020)年3月には、新東名高速「伊勢原大山インターチェンジ」までのルートが開通し、さらに東京方面からのアクセスが向上したが、その歴史は古く、江戸時代より開湯している。

その奥地、広沢寺温泉は、昭和10(1935)年に横濱貿易新報が創業45周年を記念して実施した「神奈川県下名勝史蹟45佳撰」にも選ばれた歴史ある温泉郷である。今回はそんな広沢寺温泉の歴史ある温泉宿「玉翠楼」を訪ねた。

「玉翠楼」は、昭和2(1927)年の小田急小田原線の開通により 、東丹沢七沢温泉郷の利便性が向上したことがきっかけとなり、昭和9(1934)年に開業した温泉宿である。現在、この広沢寺温泉と近隣の「かぶと湯温泉(山水楼)」も七沢温泉郷に含まれており、開業時と変わらず、七沢温泉郷の名湯として親しまれている。



ハイキング客で賑わう通りから角にお地蔵さまの立つ小路を大沢川に沿って入って行くと、広沢寺に隣接して建つ立派な建物が見えてくる。外観を見ると、和館に1室のみ洋室が付いる。これは洋館付き住宅と呼ばれる大正期~戦後にかけて流行した住宅様式のだが、温泉宿には珍しい。洋室があったからなのだろうか、戦後に米軍に接収された時期もあったそうだ。 宿泊だけでなく、名物の猪鍋の昼食付きで1日ゆっくり過ごせるショートステイや日帰り入浴(露天風呂のみ)等のプランがある。地元の猟師が仕留めた猪肉を秘伝の味噌ダレで煮込む猪鍋にも惹かれたが、今回は日帰り入浴にした。



立派な格天井の玄関ホールで受付を済ませると、中庭を挟んだ露天風呂に案内された。中庭の池には、逆サイフォンの原理で吹き上がる噴水もあり、池の傍らの東屋では、湯上がりの客が談笑している。池に架けられた橋を渡り、露天風呂の戸を明けると直ぐに洗い場と風呂があり、少々驚いた。早速洗い場脇の脱衣所で着替えて湯に浸かる。程好く暖かい風呂は、ついつい長く浸ってしまう心地よさだ。

泉質は、強アルカリ性単純温泉でトロトロと肌に馴染む。胃腸病や神経痛等に効能があるそうだ。湯上がりに館内を散策すると、猪の毛皮や猪グッズが飾られていた。今度はハイキングも兼ねて、ゆっくり猪鍋と温泉を楽しみたいと思いながら、宿を後にした。






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