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[歴鉄_12]横浜市電1510号 | 横浜市・横浜市電保存館

更新日:2021年5月25日


横浜市電が保存されている横浜市電の車両展示コーナーに並ぶ7両の保存車両の一番奥に鎮座しているのが横浜市電1510号である。

この車輌は昭和26(1951)年日立製作所で製作された横浜市電1500 系20両のうちの1台である。アメリカで開発された高性能路面電車であるPCC(President’s Confedence Commitee)カーに触発され1950年代に日本で開発されたいわゆる「和製PCCカー」のひとつで、「横浜市電の決定版」とまで言われた高性能車であり、昭和47(1972)年3月31日、横浜市電が全廃されるまで市民の足として走り続けていた。

車体は定員100名の中型ボギー車。扉と窓枠はプレス製品を使用して軽量化が図られている。モーターはTDK-526(35kw/300V)4基で装架方式はつりかけ式である。制御器は日立MMC5Aで、間接制御となり発電ブレーキを常用した。主幹制御器には手を離すとオフになるデットマン装置を設け、力行は直列8、並列7の合計15ノッチで、発電ブレーキは8ノッチであった。運転台では機器にカバーがついたほか、横浜市電で初めて運転士用の椅子が取り付けられた。CPはDH-16を搭載。電動発電機は持たないため補助電源は抵抗器で降圧した電源を使用した。台車は防振構造で軸梁式のKL-20で、台車にはブレーキシリンダが二つ取り付けられている。前面は視界の広い2枚窓で、そのほかそれまでの市電にはなかった機能として、前面の系統板の照らすための明示灯が設置され、追突事故を防止するためブレーキ動作時に点灯するストップランプ(ブレーキランプ)を号車の下部に設けた。(このストップランプには当初英語でSTOPと標記されていた。

塗装はメーカーからの到着時には上がクリーム、下がブルーに塗り分けられていたが、営業開始時には屋根部分にもブルーが入り、細い白線が2本引かれたこの塗装は昭和30年代の横浜市電を象徴するカラーとなり1200系、1400系にも波及した。

市電保存館では、2013年のリニューアル前まで、1510号は野毛山動物園の1518号と同様、市電末期の塗装としていたが、リニューアルの際、昭和29(1954)年からごくわずかの間、1100型の1171号と1172号に施されていた「コーヒーブラウンカラー」となっている。1500型の車両がこの塗装になったことはないが、塗装色の見本として再現されている。車両展示コーナーの奥には、歴史展示コーナーがあり、現在の横浜市営バスにもつながるそこには馴染みの塗装が施された1510号の模型がある。

歴史コーナーでは、市電を中心とした横浜の都市交通のあゆみを、都市横浜の成り立ちと重ね合わせて紹介されているので、展示車両とあわせてご覧いただきたい。



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