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[歴飯_13]檑(らい)亭
更新日:2019年12月17日

昭和3(1928)年に鎌倉から深沢、津村にかけての尾根に、実業家の菅原通済により開発された分譲別荘地が鎌倉山である。日本初の自動車専用道路が通り、別荘地内には、帝国ホテルの料理を提供した「鎌倉山ロッジ」と呼ばれる共用施設も作られるなど、当時としては画期的なまちづくりが行われていた。
今回紹介する「檑亭」は、当初は「清香園」と呼ばれ、鉄道事業家の菅原恒覧が建てた別荘であった。関東大震災で倒壊した横浜市戸塚区の養蚕農家の家屋を昭和4(1929)年に移築、翌5年にさらに市内寺院の一部も移築し、これと合わせて1階外観を鉄筋コンクリート造の洋風に仕上げる等大胆な改築を行なった。和洋折衷の不思議な建物である。
昭和44(1969)年に現所有者が和風レストランとして開業し、現在に至っている。広大な敷地内には、甘味処や茶室、四季折々の花が楽しめる庭園があり、遠景には相模湾を臨む。
本館では蕎麦懐石をいただけるが、今回は天せいろを注文した。風味豊かな蕎麦に、揚げたての天ぷらは口当たりもよく、あっという間に完食してしまった。
この日はこれで帰宅したが、時間に余裕があれば、食後は邸内を散策し、甘味処限定の蕎麦の実を使ったチーズケーキをいただくのが通の楽しみだと思う。是非一度味わっていただきたい。
