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[歴飯_28]スターバックス鎌倉御成町店



今回、紹介するスターバックス鎌倉御成町店はこれまで[歴飯]で紹介してきた店と違い、建物自体は歴史的建造物ではない。しかし、敷地の履歴を読み解き、街に溶け込ませていることから歴史を生かしたまちづくりの一例として紹介するものである。

JR鎌倉駅から鶴岡八幡宮へ向かう人で賑わう東口ではなく、江ノ電鎌倉駅のある西口から5分ほど歩くと鎌倉市役所の目の前にスターバックス鎌倉御成町店がある。

昭和初期、多くの文士が鎌倉へと移住し執筆を始めた。彼らは「鎌倉文士」と呼ばれていたが、『フクちゃん』で有名な漫画家・横山隆一氏も鎌倉に居を構えたうちの一人である。

スターバックス鎌倉御成町店は、横山隆一氏の邸宅跡地に、氏の愛したお庭の藤棚やサクラ、プールをそのまま生かし建築されている。



世界的なチェーン展開をしているスターバックスは、店を自宅や職場や学校ではない「サードプレイス」と位置づける。このコンセプトを踏まえて、それぞれの立地に合わせて店を展開するのだが、その中でも特に日本の各地域の象徴となる場所に建築デザインされ、地域の文化を世界に発信する店舗が「リージョナル ランドマーク ストア」である。「鎌倉御成町店」は その1号店だった。

店内に入ると、高い天井の空間に、オーダーカウンター、テーブル席、ソファ席が広々と配置されている。

ハム&マリボーチーズ 石窯フィローネのサンドイッチとマイボトルをカウンターに持っていき、グランデホットドリップとオーダー、支払いを済ませ、その場で商品を受け取り、まずは室内の大きなテーブル席に座る。

店の奥には、魅力的で個性的なストーリーを持った、希少なコーヒー豆「スターバックス リザーブ®」を提供するカウンターもある。

大きなガラス戸の開口部からは庭の穏やかな自然光が差し込む。サンドイッチを食べ終えた後、日差しに誘われて長い軒下のテラス席へ移動した。季節はまだ早く、サクラも藤もまだ花をつけていなかったが、水面をたたえた水色のプールが穏やかな日の光を反射させて気持ち和ませてくれる。

今回は朝の開店すぐの来訪であったため、少し席に余裕もあったが、時間がたつれどんどん客が増えていった。地元にも愛されている人気店であることが伺えた。

ゆったりとした空間を楽しむのであれば、観光や仕事の前、午前中の早い時間に訪れることを勧める。

土地の歴史や都市の文脈は建築物だけに宿るものではない。庭や土地の文化的な位置付けなどに着目し、保全していく取組みとして、今後どのようにこの場所に馴染んでいくのか、また、どんな発信をしていくのか見守っていきたい。




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