川崎市立日本民家園は、急速に消滅しつつある古民家を永く将来に残すことを目的に、昭和42(1967)年に開園した古民家の野外博物館である。日本民家園の園内は大きく分けて「宿場」「信越の村」「関東の村」「神奈川の村」「東北の村」に分かれている。
今回、訪れた「そば処 白川郷」は、園全体の中程に近い「信越の村」にある山下家住宅にある。
山下家住宅は、県の重要文化財に指定されている飛騨白川郷の合掌造りの民家で、19世紀前期に建てられた。しかし、ダム建設のため水没することになったため、昭和33(1958)年、川崎市で和菓子屋を営んでいた千葉建三氏が入手し川崎駅前に移築、一時料亭として使用していた。後に川崎市に寄付され、昭和44(1969)年に民家園に移されている。
民家園に移築された際、再移築で会ったこと、また休憩所として使うため忠実な復元とはなっていないが、急な勾配を持つ茅葺の大屋根は飛騨白川郷の合掌造りの特徴をよく残している。
入口を入るとすぐに食券売り場がある。今回は「冷やし民家園そば」(あげ玉ととろろと山菜乗せ)をいただくこととした。
オモヤの囲炉裏を囲むように置かれた席に案内された。本当に岐阜の田舎家で食事をいただくような雰囲気で落ち着く。
まもなく運ばれてきた蕎麦は、歯応えがしっかりしていて、冷たい濃い目の出汁が食を進ませる。
生田緑地という広大な緑に囲まれた豊かな空間で、二度の移築を乗り越えて現在に引き継がれてきた茅葺き屋根の古民家で過ごす時間の贅沢さを噛みしめながら、蕎麦を味わう。
生田緑地には「宙(そら)と緑の科学館(プラネタリウム)」「岡本太郎美術館」など見どころも多いので、一度訪れることをお勧めしたい。
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