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[歴飯_68]無心庵

更新日:6月28日



鎌倉駅から江ノ電で一駅、和田塚駅。無人駅の和田塚駅には降口が二つあるが、そのうちの江ノ島方面側の降口から遮断機の無い踏切を渡った先に「無心庵」がある。

踏切から無心庵の門までは、人ひとりがやっと通れる幅で、電車が通る時には少しびっくりしてしまう。

「無心庵」の看板と、丸に「甘味」と書かれている暖簾がかかる門の先に店の玄関が見える。靴を脱いで上がると囲炉裏のある座敷、床の間のある和室、その奥にテーブル席のある部屋がつながっていて、そのうちの真ん中の部屋の一番窓際の席を選んで座った。開店時間にあわせて立ち寄ったためなのか、ほかに客の姿も無く、ゆったりとした空間を独り占めである。



写真を見ているだけでも楽しめるメニューをめくりながらも、あらかじめ門を潜った先に建てられていた「おしながき」で決めていたみつまめとホットコーヒーを注文した。

窓の外に見える露地庭と縁側にかかる赤い野点傘をぼーっと見ていると、踏切のカンカンカンという警報音が遠くからかすかに聞こえきて、暫くおいて目の前を鎌倉方面に江ノ電が通り過ぎた。映画のワンシーンのようである。そんな思いに浸っているところに注文した「みつまめ」と「コーヒー」が運ばれてきた。

「みつまめ」は高台碗に載せられており、別の小ぶりのカップに入ったたっぷりの黒蜜を好みでかけられる。「黒蜜、足りなければ言ってください」とのことだったが十分であった。



「みつまめ」は、まめ、寒天、求肥、フルーツが入ったスタンダードなもの。ひんやりとした食感と優しい甘さが口に広がり、コーヒーに良くあった。

「無心庵」がある和田塚の地名は、近くにある「和田一族戦没地(通称「和田塚」)に由来する。和田塚は源頼朝亡き後、専制政治を目指す北条氏を相手に乱(和田合戦)を起こした和田一族の墓跡と伝えられている。住宅に囲まれそんな合戦があったことは今では全く想像もつかない閑静な場所であるが、目の前の庭と江ノ電を眺めながら、そんな古の出来事にも思いを馳せながら、ゆっくりと流れる時間を楽しむのも良い。






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