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heritagetimes

[歴飯_77]庭園&カフェ立小路



横浜方面から中原街道を西に向かい藤沢市宮原付近に近づくと沿道に造園業や植木屋の看板が多くなってくる。

その中でも丸太を積み上げた個性的な囲障で目を引くのが「植木屋あいはら」である。

今回、立ち寄るカフェはその植木屋の一角にある。

正面から「植木屋あいはら」の敷地に入ると眼前に広い庭が広がり一見どこにカフェがあるのかわからないが、小さい看板で「カフェ入口」と書かれた看板があったので、その矢印に導かれて進んだ。丁寧に管理された庭木の間の小径には、飛石、手水鉢、石灯籠、鏑木門、石橋がいくつも並んでいて、ちょっとした見本市のようで楽しい。周りにテラス席もある。それを見ながら進んでいくとその奥にひっそりと「庭園&カフェ 立小路」と看板が出ている建物が出てきた。



ガラス戸を引いて中に入ると、7坪ほどのコンパクトな店内にはキッチンと18席ほどテーブル席が並んでいる。昼時を過ぎていたが人気店なのか、ほぼ席は埋まっていた。予約をしていることを告げると、一番奥のテーブルに通された。食事メニューは2種類の週替わりで、この時は「焼き魚定食」「具沢山!冷たい彩りフォーランチ」となっていたが、フォーランチはすでに完売とのことで、焼き魚定食をいただくこととした



このカフェは、元々、近隣にある御所見公民館に勤務していいた店主が、植木屋あいはらの庭に惚れ込み「この素晴らしいお庭をもっと多くの人に知ってほしい」とオーナーと意気投合。地元植木店の3代目であるオーナーは「単に樹を並べて売るのはどうか」と約20年かけて回遊式に作り替えてきたという。庭の片隅にあった旧事務所を近隣の職人たちの協力を得ながらほぼセルフリノベーションで改装し令和元(2019)年12月、開店に漕ぎ着けた。

店内の作りはシンプルで、剥き出しの小屋組が磨き上げられていて美しい。



しばらくすると、注文した焼き魚定食が運ばれてきた。金華サバ、ほうれん草のピーナッツ和え、オクラと山芋のスープそしてご飯がお盆に乗せられている。

金華サバは毎朝市場から店主が仕入れてくるもので、名前の通り表面が金色に輝いている。ほぐしながら一口に運ぶと、旨味のある脂がのったホクホクの身が美味しい。オクラとゴロッと切られた山芋のスープは、とろみがあって涼しげで夏バテにも効きそうだ。

「立小路(たつこうじ)」という店名の由来は、小田原北条氏支配時代に整備された古道で、植木屋あいはらの裏手を現在の中原街道とへ移行するように伸びている「立小路」からとったもの。地域の歴史を今に伝えようとするオーナーや店主の意気込みを感じることができる。



会計を済ませ、席を立ち、もう一度、庭園内を回ってみた。園内の数箇所にテラス席が設けられていて、何組かがそこで、庭の景色とともにカフェやデザートを楽しんでいた。

季節が良い頃に、今度は外で楽しんでみたいと思いながら、庭園を後にした。






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