平成28(2016)年12月にパシフィコ横浜会議センターで初開催以降、毎年横浜で開催され、今回6回目の開催となる「お城 EXPO 2021」は、令和3(2021)年12月18日(土)から12月19日(日)まで開催された。ピーク時には2万人、昨年コロナ渦の中でも約9千2百人の来場者があった人気イベントである。今年も前売り入城券を購入し、いざ参城。
会場は昨年に続き、パシフィコ横浜ノースは、パシフィコ横浜展示ホールとザ・カハラ・ホテル&リゾート横浜の間に令和2(2020)年4月にオープンしたMICE施設で、国内最大規模となる約6,300㎡の多目的ホールと大中小42室の会議室からなる。
その大きな会場をフル活用する形で、1階展示ホールのほか、2階から4階までぎっしり特別な展示やプログラムが展開されている。
早速、パシフィコ横浜ノースのエントランスに向かうと「消毒をするでござる」「会話を控えるでござる」との注意看板があり、その指示にしたがって検温、入場者登録の確認、手指消毒を済ませると、いよいよ会場に入ることができる。
1階展示ホールに一歩踏み入れるとその空間の大きさに圧倒される。1階展示ホールには城郭の関連団体が情報発信のためのブースを出展している「城めぐり観光ゾーン」や書籍や城関係グッズの販売を行っている「城下町物販ブース」、イベントステージなどがある。
「城めぐり観光ゾーン」に神奈川県内から「公益財団法人鎌倉市観光協会」「横浜の中世城郭」、「三浦一族城郭保存活用会 / 歴 x トキ」「小田原城・石垣山城・北条五代観光推進協議会」が参加していた。
<公益財団法人鎌倉市観光協会>
「公益財団法人鎌倉市観光協会」のブースでは、来年のNHK大河ドラマに因んで「鎌倉殿を支えた13人の宿老」と題したで系図や13人の宿老のプロフィールを紹介したパネル展示と北条義時法華堂跡から出土した軒平瓦(下向剣頭文)や13人の重臣が選ばれた場面が書かれている「吾妻鏡」の江戸時代の複製などによる貴重な資料(鎌倉歴史文化交流館所蔵)の展示が行われていた。
また、「かまくらミューズちゃんねる(鎌倉国宝館・鎌倉歴史文化公式)」と東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会安全祈願流鏑馬(大日本弓馬会)」の映像資料も展示されていた。展示内容からはNHK大河ドラマへの強い期待がうかがえる。
<横浜の中世城郭>
「横浜の中世城郭」のブースでは「令和3(2021)年 小机城跡埋蔵文化財試掘調査」を中心に展示が行われていた。この調査は小机城跡のより良い保護(保全と活用)方法を検討し、未来に継承するために今後実施される各種調査の第一歩として実施されたもの。パネル展示では、調査の様子を工程ごとに解説し、ブース前のモニターでは映像では、令和3(2021)年12月4日に開催された説明会の様子が放映されていた。
販売コーナでは、既に販売がされている「横浜中世城郭図 」、御城印「茅ヶ崎城跡」「寺尾城」「小机城」「榎下城」に加え、黒に金文字が目を引く「発掘調査記念 小机城 御城印」も新たに販売していた。地元、横浜のブースということもあり、熱心にパネルに見入る参加者が多かった。
<三浦一族城郭保存活用会 / 歴 x トキ>
「山城ガールむつみ」の幟が目立つ「三浦一族城郭保存活用会 / 歴 x トキ」のブースでは、三浦一族と三浦一族城郭保存活用会会長であり歴 x トキ代表の「山城ガールむつみ」の活動の紹介を中心に展示されていた。
販売コーナーでは、「山城ガールむつみ」がデザイン監修をした、三浦一族の城「衣笠城」「怒田城」「三崎城」「浦賀城」の御城印やオリジナルの御城印帳などを販売していた。こちらでも来年のNHK大河ドラマへとの関連を前面に押し出して参加者へ声かけがされており、多くの参加者の興味を惹いていた。
<小田原城・石垣山城・北条五代観光推進協議会>
「小田原城・石垣山城・北条五代観光推進協議会」のブースでは、「「小田原城」「石垣山城」の御城印、北条五代武将の武将印・ステッカー、トートバックなど豊富なグッズが販売されていた。「北条五代観光推進協議会」は北条氏にゆかりのある14市町(伊原市・大阪狭山市・沼津市・三島市・伊豆市・伊豆の国市・横浜市・相模原市・鎌倉市・小田原市・箱根町・八王子市・川越市・寄居町)の行政及び観光協会が連携し、北条氏の様々な偉業や魅力を活用した観光事業を展開し、北条氏ゆかりの地として歴史や文化を広く全国に紹介し、地域の活性化を図ることを目的として結成された団体である。
このブースのメインは「『北条五代』を大河ドラマに!」と銘打った「北条五代」を題材としたNHK大河ドラマを誘致するための署名への協力を求める活動である。お城EXPO会場内では、他にも各所でNHK大河ドラマの誘致を求めるキャンペーンが行われおり、このジャンルでのNHK大河ドラマの影響力というものが窺い知れる。
神奈川県からの出展は主に上記の4か所のブースのほか、厳選プログラムでは「城から探る小田原城合戦『土の城』 小田原城と『石の城』石垣山城(諏訪間順)」の講演、お城シアターでは「山城ガールむつみさんといく 三浦一族ゆかりの舞台」「小田原城桜ドローン映像」「石垣山一夜城ドローン映像」「小田原城総構」などかなり多くの関係プログラムがあった。
会場の一角に「キモチと。」のブースがあった。「キモチと。」は、ブックオフが提供しているインターネット宅配買取サービスを利用し、読み終わった本、聴かなくなったCD、遊び終わったゲームなど不要になったモノの買取金額で様々な団体等に寄付、応援、支援することができる取り組みであり、SDGs目標12、17の達成に貢献している。
ここでは、寄付先として「未来へ残そう沖縄の心 ~貴重な美術工芸品等の収集・復元・保存に向けて~ 一般財団法人 沖縄美ら島財団(首里城公園管理センター)」と「子どもたちのために小机城のジオラマを作ろう 小机城のある街を愛する会(略称:城まち会)」が紹介されていた。企業が歴史を生かしたまちづくりに貢献する形の一つとして注目したい。
当然であるが、お城EXPOの見所は、全国から集まった城関連のブースやプログラムであり、十分まる一日楽しめる内容である。
特別展示「伝承する歴史 - 豊富秀吉を中心に - 」は豊富秀吉の一代記「太閤記」に焦点を当てて江戸時代における同書の展開や派生がうかがえる当時の資料が展示されており、歴史伝承におけるメディアの役割についての知見を得られる。毎年恒例の「日本100名城&続日本100名城パネル展」「小中学生 城の自由研究コンテスト優秀作品展」も熱心に見学する参加者が多かった。
今後もこのイベントが横浜で開催されることを願う。
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