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[レポート]横浜市歴史博物館特別展「みんなでつなげる鉄道150年 - 鉄道発祥の地よこはまと沿線の移り変わり - 」【HERITAGE TIMES YOKOHAMA KANAGAWA】



横浜市歴史博物館で令和4(2022)年3月19日から9月25日の会期で開催されている「特別展「みんなでつなげる鉄道150年 - 鉄道発祥の地よこはまと沿線の移り変わり - 」を見学した。
令和4年(2022)は、新橋と横浜の間を結ぶ鉄道が開業してから150周年の節目の年にあたる。また、令和4年度には、相模鉄道線・東急東横線を結ぶ、神奈川東部方面線の相鉄・東急直通線が開業を予定している他、横浜市営交通が開業100周年を迎えるなど、横浜を中心に鉄道に大きな注目が集まる年となっている。


この節目の年にふさわしい展覧会として、横浜にかかわる鉄道各社の歩みを紹介し、ふるさと横浜の発展を屋台骨となって支えてきた鉄道の歴史の奥深さや新たな発見を伝え、横浜や鉄道に対する愛着を深めることを目的として横浜市歴史博物館が企画した特別展である。

特別展は前期(3月19日から6月19日)、後期(6月22日から9月25日)に分かれており、会期中に一部展示替えが行われるが、ここでは、後期の展示を紹介する。

展示は大きく「今につなげる - 横浜の鉄道史」、「鉄道各社がつなげる 今へ、未来につなげる - 横浜を走る鉄道会社」、「鉄道がつなげる 楽しさへつなげる - 鉄道の旅 - 」、「小学校郷土資料からみる地域と鉄道」、「横浜市電保存館がやってきた」の5つのパートで構成されている。



まず、企画展示室に入ると「今につなげる - 横浜の鉄道史」が「双頭レール」が見学者を出迎える。「I」字型のレールで、すり減ると逆さにして利用することができるもの。このレールは大宮機関区内から出土したもので、今回の展示にあたり刻印から1873年ダーリントンアイアン社製で日本の鉄道寮発注のものであることがわかったもの。ガラス越しの現物からも刻印が確認できる。



その先には鉄道創業時から二代目横浜駅、関東大震災、三代目横浜駅への移行、戦後復興から高度経済成長期、国鉄民営化や新設路線を加え横浜を走る鉄道会社が10社になった、それぞれの時代における鉄道の様子を伝える図版や資料が並んでいた。



写真や模型などが並ぶ中で「鉄道路線敷設に伴う熊野神社社殿移築工事絵馬」は、鶴見市場にあった境内地と敷設線路が交差するため曳家される熊野神社の様子を描いた絵馬は異彩を放っていた。鉄道の敷設が、社寺仏閣であっても、動かざるをえなかった国家事業であったことがリアルに伝わってくる資料であった。

次のパートでは、横浜市内を走る鉄道各社ゆかりの貴重な資料が展示されていた。その一部を紹介する。


・京浜急行電鉄 - 昭和31(1956)年3月から運行を開始した週末特急「ラ・メール号」のヘッドマーク / 明治45(1912)年発行の定期券


・相模鉄道 - 昭和8(1933)年発行「神中鉄道列車時刻表」


・東急電鉄 - 日本初のオールステンレス車両「7000系車両模型」


・JR東日本 - 駅の窓口に硬券に発売日を刻印するために使われた「ダッチングマシン」


・JR東海 - 昭和39(1964)年発行「東海道新開線開業時のポスター」


・JR貨物 - SLの煤が染み付いた高島機関区の車掌の「腕章」


・神奈川臨海鉄道 - SL「C56-139プレート」


・横浜シーサイドライン - 平成26(2014)年まで走った「シーサイドライン1000型模型」


・横浜高速鉄道 - みなとみらい線の座席シートのデザインに使われた実際の輸出用スカーフ


・横浜市営交通 - 昭和3(1928)年から市電の車内で使われていた切符回収箱


これらの他多数の展示品がところ狭しと並べられており、各社の歴史や個性の一端を知ることができる展示であった。



次は「鉄道がつなげる 楽しさへつなげる - 鉄道の旅 - 」のゾーンとなっている。

鉄道の旅にまつわる用具や販売品などが並んでおり、見ているだけでも楽しい。その中でも、横浜市民のソウルフードと言われるシウマイ弁当の「崎陽軒」に関連する展示が多く含まれており、横浜の鉄道の歴史と崎陽軒がいかに深く関わっていたかを知ることができた。



企画展示室をでた先には、「小学校郷土資料からみる地域と鉄道」。

生麦小学校の「六郷川鉄橋架設記念プレート」をはじめとして、市電の行先表示幕や記念入場券、痰壷に至るまで多種多様な資料が小学校に収蔵されていることに驚かされた。



常設展示室に行くと、展示室の中央のスタディサロンにプラレールで横浜の鉄道網を表現した「鉄道おもちゃでたのしむ横浜の鉄道と街」が出現していた。各路線の交差具合などが細かくジオラマのように再現されていて、見ていて飽きない。




また、常設展示室の一角では「新鶴見操車場-鉄道操車場物語から-」川崎市市民ミュージアムがミューザ川崎シンフォニーホール企画展示室にて開催した展示会(会期:令和4(2022)年2月3日~16日)の内容をパネル展示で紹介されており、この企画展のテーマである「みんなでつなげる」の意味を伝えているようであった。

展示を見学後、1階のミュージアムショップに立ち寄ると、鉄道各社のグッズがところ狭しと並んでいた。本展示の図録と合わせて買い求めてみてはどうだろうか。



<みんなでつなげる鉄道150年 —鉄道発祥の地よこはまと沿線の移り変わり―>


・会 期:令和4(2022)年3月19日 (土) ~9月25日 (日)

     午前9時から午後5時まで(発券は午後4時30分まで)

・会 場:横浜市歴史博物館

・休館日:月曜日(祝日の場合は開館)

     3月22日、6月21日、7月19日、9月20日


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