[歴飯_100]だるま料理店
- heritagetimes

- 2022年9月5日
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戦国時代最大級の規模を誇った小田原城。現在も小田原駅を含む市街地の中心部はこの小田原城内に位置している。街中を歩くと土塁や大手門跡の鐘楼等、街中の随所で城郭の名残を感じる。そんな小田原市本町(旧大手町)の旧東海道(国道1号線)沿いに店を構えるのが「だるま料理店」である。
明治26(1893)年、石川県金沢市出身の網元であった達磨(たつま)仁三郎が、目前に広がる相模湾で水揚げされた魚介を使った日本料理店を創業した。だるま大師の縁起にあやかり、屋号を「だるま料理店」とした。大正12(1923)年に発生した関東大震災により創業当時の店舗は倒壊、現在の店舗は、大正15(1926)年に2代目である吉蔵により建てられたもの。正面中央部には唐破風の付いた玄関があり、「懸魚(げぎょ)」(屋根の破風部分に付く装飾)には鷹の透かし彫りが施されている。2階の屋根は入母屋屋根が2つ付く「比翼入母屋造」となっており、特徴的な外観である。

ガラスの引き戸を開け店内に入ると、壁と天井の境に段を付けた「折上げ格天井」の広々とした空間が拡がる。テーブル席脇の壁は、腰壁が木を薄く加工し編み上げた「網代」となっており、見切材には名栗り仕上げの木材が使われている。壁の上部には大きな花頭(火灯)窓が付き、ガラスの引き戸がはまっている。松皮菱(菱形を3つ連ねた形)をモチーフとした窓の組子細工も美しい。木材は桧、松、欅等が使用されているらしく、寄木細工等に代表される木材と木工芸の街らしさも感じる。折上げ格天井や花頭(火灯)窓は社寺の本堂など格式の高い部屋に用いられることが多く、こうした点からも贅を尽くした空間が造られていることが分かる。

同店は地物の魚介を使った天ぷらやお寿司が名物とのことで、今回は数量限定の「こだわり天重セット」を注文した。天つゆを纏った薄い衣とふっくらした魚介、ほんのり香るごま油の風味に箸がすすむ。仕入れによって具材は変わるそうだが、今回は貝柱を主体としたかき揚げ、ホタテ、海老、穴子、鱚の天ぷらが乗っていた。魚のすり身団子が入った澄まし汁は出汁がしっかりと効いており、天重との相性も抜群であった。天丼の要とも言える天つゆは門外不出の味だそうで、創業当時から継ぎ足しながら使用しているとのことである。

主屋の建物は平成14(2002)年に国登録有形文化財に登録されており、文化財で地物の魚介を味わえる店としても人気となっている。2階は座敷となっているようなので、次回来店時には予約を取って訪れてみたい。
贅を尽くしたこだわりの空間や味は決して安くはないが、小田原城をはじめとした小田原散策の折に、是非一度ご堪能いただきたい。

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