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[歴飯_102]café 坂の下【閉店】

更新日:2023年6月30日



江ノ電長谷駅を降り、線路を渡って右手、星の井通りを極楽寺方面に向かう。この通りは長谷から極楽寺に抜ける旧街道であり、極楽寺坂手前には、古来より旅人の喉を潤してきたであろう鎌倉十井の一つ星の井(星月の井)と弘法大師に所縁のある虚空蔵堂がある。そんな街道筋から由比ガ浜に向かって住宅街の小径を入りしばらく歩くと、アイストップに稲荷社のある三叉路に至る。この三叉路の一つ、海に向かって緩やかに下る坂道に面して建つ蔦の生い茂った家屋が「café 坂の下」である。



「café 坂の下」は、築90年超の古民家を改装したカフェである。蔦や木々の緑に覆われた外観からは分かりづらいが、玄関の扉は洋風の造りとなっており、欄間には結霜ガラス(フェザーガラス)が使われている。店内に入ると正面が2間続きの和室、左手の小部屋が洋室となっており、和館に一室だけ洋間が付くいわゆる「洋館付き住宅」(文化住宅)と呼ばれる住宅様式の特徴を持つ。この様式は、明治以降生活様式が洋風化していく中で、造られるようになった住宅様式であり、大正中期~戦後にかけて戸建て住宅や別荘等で流行した。日常的に利用する部屋は和室を主体としながらも、書斎や客間、応接室といった部屋を中心に洋室を設けている。



和室のテーブル席に腰掛け、店内を見渡す。鴨居はシンプルながらも一枚板の木材が使われており、部屋の良いアクセントとなっている。和室に面した庭はテラス席となっており、木陰に風がそよぐ気持ちの良さそうな空間である。廊下との仕切りにはガラス戸が使われおり、向かいのオープンキッチンからは、美味しそうな香りが漂う。

朝食時間帯の来訪だったこともあり、今回はチーズパンケーキを注文した。僅かに甘みのある生地にチーズが練り込まれたパンケーキはフワッとした見た目ながらもしっかりと食べ応えがあり、脇に添えられた厚切りベーコンやサラダとも良く合っている。看板メニューがパンケーキというのも頷ける一品であった。

鎌倉は明治以降海浜別荘地として注目されてきた街でもある。市街地の合間を抜ける江ノ電(江ノ島電鉄)も鎌倉から藤沢に至る海浜別荘地を結ぶ交通として発展してきた歴史を持っている。そんな鎌倉長谷の歴史ある古民家にて、別荘で過ごすような非日常を味わってみてはいかがだろうか。



<稲荷社を中心に集まる一帯の古民家カフェ>

・なみまちベーグル

・café recette 鎌倉

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