令和6(2024)年5月4日(土・祝)から6日(月・休)まで旧モーガン邸(藤沢市大鋸)で開催された「ふじさわアートフェスティバル2024(主催:ふじさわアートフェスティバル実行委員会)の様子をレポートする。 「ふじさわアートフェスティバル」は、旧モーガン邸の緑溢れる庭園を使った野外アート展で、絵画・彫刻・染織・陶芸・写真など、様々なジャンルのアートが展示するイベント。平成28(2016)年に第1回が開催され、コロナ禍時の中断を経て今回が7回目の開催となる。
会場である「旧モーガン邸」は、横浜山手西洋館「ベーリック・ホール」などを設計したJ.H.モーガンが昭和6(1931)年に建てた自邸。スパニッシュスタイルの要素を取り入れた外観に和洋折衷の室内を持つこの家は、建築家の自邸としてだけでなく、湘南地域に分布する昭和初期の別荘や邸宅の中にあって住宅史的にも文化史的にも価値のある建物である。 モーガン亡き後何人かの手に渡ったが最後の所有者が負債を抱えたため、整理回収機構の管理下で債権処理の対象になり解体の危機に瀕していた。
平成11(1999)年には「旧モーガン邸を守る会」が結成され保存を求める活動を始めるなど、市民運動の成果もあり、競売入札が迫っていた平成17(2005)年8月に藤沢市と(公財)日本ナショナルトラストが土地建物を取得し一般公開に向けた取組が進められていた矢先の平成19(2007)と平成20(2008)年の不審火により玄関や暖炉、床、地下室を除き、建物の大部分を焼失した。建物の消失を受け、平成21(2009)年には(公財)日本ナショナルトラストが事業からの撤退の方針を表明し、計画は頓挫するが、令和3(2021)年、(公社)横浜歴史資産調査会が事業を引継ぎ、「(特非)旧モーガン邸を守る会」や藤沢市とともに再建に向けた活動をスタートさせている。
正門から入ると左右の木立の中に、さらに進みアイアンワークが特徴的な中門を抜けた正面の築山にも作品が展示されている。築山の左側の旧モーガン邸前が受付(運営本部)となっており、記名しリーフレットを受け取る。 リーフレットを片手に会場を回ったが、通常の一般公開日とは違った層の来場者が多く参加しており、大いに賑わっていた。
また、会場である旧モーガン邸の遺構や記録の紹介、さらに募金活動への協力の呼びかけも行なっており、再建への機運醸成につながっていたのではないだろうか。緑豊かな歴史的建造物の邸園で行われるのアートイベントの継続に今後も期待したい。
▲「旧モーガン邸で採れた夏みかんで作ったマーマレード」
<参加作品の一部を写真で紹介する>
▲「見上げて」風波
▲「siesta2024」森千香子
▲「龍の棲むまち」Kozue Takahashi
▲「雨上がりのくもの巣」滝沢一平
▲「太陽の化身*カラス seven」studio_tau
▲「森の友達たち」アトリエギュー
▲「滅びない・溯行 〜相変異体〜(八十二)」浅倉伸
▲「自然とともに〜scolloosis〜」飯田浩丈
▲「モーガンの残したもの」中島直
▲「つなぐ」ちとせの会
▲「波とうさⅡ」うさぎ堂
▲「カメリアにつづく道」尾関良雄
▲「しぜんにいきるいきものたち」さんぼんぎかいと(駅前かぐや)
▲「モーガン邸のお庭でのんびり過ごすあかちゃん」akachan&akachan(駅前かぐや)
▲「指からうまれたはためく文字たち」(駅前かぐや)
▲「スギタロー」榊原勝敏(招待作家)
▲「舞風」岸川研一(kissea)
▲「モーガン邸で、はい、チーズ!2024バージョン」米山幸助
▲「モーガン氏新構築」クマイキレ
▲「八咫不死鳥空也像」まんまちさこ
▲旧モーガン邸を守る会音楽イベント「青い鳥」
▲ワークショップ「ワクワク電動ロクロ体験」飯田浩丈
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