[歴飯_74]Sasho
- heritagetimes

 - 2021年6月29日
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JR鎌倉駅西口を出て、線路沿いを北鎌倉方面に歩く。旧古我邸に向かう交差点を通過し、最初の小径を登っていくと立派な門と屋敷が見えてくる。今回紹介するSashoは、政財界人の別邸が多く建てられた扇ガ谷の一画に財界人の別邸として昭和初期に建てられた。海軍中将の手を経て、現在に至っているが、丁寧に住み継がれてきた家屋には往時の風情がよく残っている。華美な装飾はないが、玄関の式台には美しい矢型の名栗仕上げが見られる。柱や梁には立派な一本材が使われており、廊下や床の間わきの付け書院には繊細な組小細工が見られる。

使い込まれた建物の魅力もさることながら、広々とした庭が一際目を惹く。店主によると、7代目小川治兵衛による作庭とのことである。7代目小川治兵衛は、山縣有朋京都別邸(無鄰菴)や京都市円山公園の日本庭園、旧古河庭園など現在観光地として名高い近代を代表する著名な庭園を作庭した庭師である。鎌倉市内では鎌倉山の扇湖山荘(通常非公開)の庭も作庭している。その作風は、遠景に山々の借景を配し、そこから連続する近景に滝や沢など水の流れを取り入れた作庭が特徴である。Sashoの庭を見ると、遠景の源氏山の木立が借景となり、近景には湧水を引いた滝や沢、その周りに松や紅葉等が植えられている。現在水は止められているが、手入れの行き届いた庭には往時の風情がよく残る。

広縁の席に着き、木立を眺めながら野鳥の囀りを聞いていると、ビーフシチュー御前が運ばれてきた。国産牛とトマトをじっくり煮込んだこだわりのビーフシチューは看板メニューというだけあって、絶品である。食後にはアールグレイのティラミスを注文した。一口食べるごとにほんのり香る紅茶の風味が心地よい。ビーフシチューを除き、食事やデザートメニューは季節ごとで変更になるようなので、四季折々の庭を眺めながら、季節の食材をいただくのも一興ではないだろうか。

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