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[歴飯_130]茶寮 石尊



神奈川県西部の名峰「大山」は、別名「雨降山」とも呼ばれ、雨乞いや五穀豊穣の祈願だけでなく、商売繁盛にも御利益があり古代から信仰の対象となっていた。江戸から大山までは帰りがけに江の島などの観光地に立ち寄っても5日程度。レジャーとしての要素も持った「大山詣り」の参拝者の多くは「講」と呼ばれる町内会や同業者組合による団体で、皆で費用を積み立て「大山詣り」に出かけていた。江戸の人口が100万人の時代に、年間20万人もの参拝者が訪れたと言われている。その風習は現代まで引き継がれており、平成28(2016)年には「江戸庶民の信仰と行楽の地~巨大な木太刀を担いで「大山詣(おおやままい)り」」として文化庁の日本遺産に認定された。



今回、訪ねたのはその大山阿夫利神社下社境内にある客殿の一部を改修して平成31(2019)年4月に始業した茶寮「石尊(せきそん)」である。

大山阿夫利神社下社へは、小田急線伊勢原駅北口から「大山ケーブル」行きバスで20分、そこから急な参道を徒歩で15分、さらにケーブルカーに乗って向かった。今回は大山山頂に置かれた本社(標高1253m)ではなく、下社・拝殿でお詣りをした。参拝を終え振り返ると鳥居越しに、ミシュラングリーンガイドジャポンで2つ星を獲得した相模湾の雄大な景色が広がっている。

「茶寮 石尊」は、拝殿を正面に見た右手の客殿にある。客殿の正面は唐破風の玄関となっているが、その奥の切り立った崖側に別の入口がありそこが「茶寮 石尊」となっている。



入口を入るとスタッフからメニューを渡され、先に好きな席を取ってから入口付近のカウンターでオーダーするよう促された。今回は気温は低かったものの天気は良かったので外のテラス席を選んで座った。

メニューから見た目のインパクトがある升ティラミスとブレンドコーヒーを注文した。

テラス席からは、相模湾が一望でき、江ノ島や三浦半島、さらに房総半島まで見渡せた。

景色を楽しんでいると、すぐに注文の品が運ばれてきた。



升ティラミスはその名の通り升のなかにティラミスが詰まっていおり、その上から抹茶がかかっている。トロリとした濃厚なチーズのティラミスの甘さと抹茶のほろ苦さがマッチしていて美味しい。

食べ終えた後もしばらく遠くを眺めながらまったりしていたが、徐々に混み始めできたので店を出ることとした。会計後、少し店内の様子も見せてもらった。畳席、板敷きのいす席などがあり、天井、床、壁にふんだんに柿渋仕上げのスギ材が使用されており、落ち着いた雰囲気となっていた。



スタッフによると、改修設計は日本建築学会賞を受賞している堀部安嗣氏、施工は伊勢原市内の宮大工で文化財の修復なども手がける内田幸夫氏。店名は大山阿夫利神社の神様「大山祗神」が、別名「石尊大権現」と呼ばれていたことから付けられたとのことであった。

古来から信仰対象であった大山から見る雄大な景観を楽しめる茶寮。是非、一度体験していただきたい。



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