[歴飯_161]箱根暁庵本店 暁亭
- heritagetimes

- 2024年1月9日
- 読了時間: 2分
更新日:2024年1月30日

箱根湯本から早川沿いに塔ノ沢方面に登る国道1号から和菓子の「ちもと駅前通り店」の店前で須雲川に沿って湯場滝通りに別れ、しばらく進んだ先の左手の木立に隠れるように佇んでいる古民家がある。そこが今回、歴飯で訪れた「箱根暁庵本店 暁亭」である。

店名が記された看板が掲げられている門をくぐり、建物を回り込んだ先に玄関がある。そこに置かれたタッチパネル式の自動受付発券機で受付を済ませ、緋毛氈が敷かれた腰掛けでしばらく待っていると声がかかる。玄関で靴を脱ぎ、上がった先に伸びる廊下を進み、一番奥の部屋のテーブル席に案内された。席に腰掛け、一息ついたところで蕎麦を中心としたメニューの中から天ぷらそばを注文する。

席からあたりを見回すと、廊下を囲む大きな開口部のガラス戸の先にシンプルだが丁寧に整えられた庭が見える。席のある部屋には、お茶席などに使われることもあるのか、棚やスノコなど茶室の水屋の設えがあり、茶碗なども置かれている。
改めて建物を見てみると、木造平屋建、桟瓦葺、高さを抑えた寄棟造の数寄屋風に仕上がっている。

元々この建物は、明治40年、古希を迎えた政治家・山縣有朋(1838 - 1922)が小田原・板橋に建てた別荘「古希庵」の一角に、貞子夫人の為に設けた離れ家として建築された。
相模湾と箱根山を借景に築造された「古稀庵」は、有朋の所有であった目白椿山荘・京都無隣庵とともに、近代日本庭園の傑作といわれている。
山縣有朋没後、「古稀庵」は相続した山縣伊三郎(1858 - 1927)から実業家・熊本利平(1879 - 1968)の次男・熊本徳次郎に渡り、いくつかの所有者を経てニッセイ同和損害保険の小田原研修所となっている。

「古稀庵」にあった建築物のうち「暁亭」は昭和62(1987)年、湯本ホテルによって現在の場所に移築された。ホテルのレストラン施設等に活用された後、平成17(2005)年には国登録有形文化財となり、改修工事を行い、令和5(2023)年11月、隣接する「箱根暁庵本店 湯本店」が移転する形で「箱根暁庵本店 暁亭」としてリニューアルオープンした。

しばらくすると注文の品が運ばれてきた。蕎麦は挽にたての香りが立つしっかりとしたコシの細麺に、出汁と返しの効いた、それでいて優しいツユが絡まり美味。サクサクの天ぷらとあわせて、あっという間に平らげてしまった。
食後、庭に出てみる。芝生の奥に流れと灯籠、その先の須雲川の流れの音がかすかに聴こえた。山縣有朋ゆかりの明治の古民家でいただく絶品の蕎麦。箱根湯本に立ち寄る際には是非味わっていただきたい。

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