[歴飯_169]洋食 シーザー
- heritagetimes

- 2024年7月3日
- 読了時間: 3分

関内から港に向かい銀杏並木の日本大通りを抜けると横浜開港の地、象の鼻に突き当たる。ここは象の鼻パークとして整備されおり、象の鼻防波堤、ターンテーブルなどの歴史的な遺構があるほか、大さん橋や赤レンガ倉庫みなとみらいの街並みが一望できる横浜を代表する観光スポットの一つである。
日本大通りから象の鼻パークに向かって入口正面は、建物がなく港まで突き抜けているが、その左右には昭和初期に建築されたスクラッチタイル張りの共通した外観を持つ歴史的建造物が並んでいる。いずれも設計者は大さん橋側のエキスプレスビルと同じ川崎鉄三である。日本大通りから向かって左側にあるのが海岸通り壱番の一階に令和6(2024)年4月にオープンしたのが「洋食シーザー」である。

「洋食シーザー SINCE 1964」と書かれている洒落たアイアンワークの看板の横にある深い緑色の入口ドアを開けて入店すると、スタッフが明るい声で席を案内してくれた。
平日のランチには少し早い時間だったため、店内はまだ空いている。
ランチメニューを見るとステーキを筆頭に、ハンバーグ、パスタ、カレーと洋食屋らしいスタンダードなラインナップ。どれも魅力的だったが、外のサンプルが目を引いた「ハンバーグランチ(200g・ライス&サラダ付)」を選びオーダーした。

オーダーしたものが届くまで店内を見渡す。
白を貴重とした明るい店内には30席ほどのテーブル席が並び、壁にはステーキを囲むようにおすすめメニューが並ぶイラストが描かれている。その奥にオープンキッチン、さらに奥の開口部の先には象の鼻パークのスクリーンパネルが見える。天井は現しになっていて、シンプルな繰形が施された梁も確認できた。
そう店内を見回しているとオープンキッチンから「じゅーーっ」という音と共に、食欲をそそる匂いが漂ってきた。これはたまらない。間も無くして、熱々の鉄板に乗せられたハンバーグが運ばれてきた。

鉄板の上でまだ「ジュウジュウ」と音を立てているハンバーグには目玉焼きとデミグラスソースが乗せられ、モヤシとコーンが添えられている。茶碗に盛られたライスも並び、まさに「ザ・洋食」の構成である。
早速、ハンバーグを一口、デミグラスソースに絡めて食べると、口の中に熱々の肉汁が広がり、幸せな気持ちになった。何か、美味しさのほかに、安心感や懐かしさのようなものを感じた。自然とご飯も進み、一気に食べてしまった。
店主によると、「シーザー」は元々、東京・溜池山王で昭和39(1964)から半世紀以上続いた喫茶レストラン。出店していたビルの建て替えに伴って「どうせならいままでと違う雰囲気の場所で」と港町・横浜へ移ってきたとのこと。
そういえば、入口の看板に「プリンアラモード」といった、元々、喫茶店ならではのメニューも書かれていたのを思い出し、納得。
温厚な人柄が伝わる話し方の店主、東京で培われた老舗の味と歴史的建造物、そして港町の風景を堪能できる「シーザー」。おすすめである。


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