[書籍紹介]軍港都市 横須賀・下町地区の都市形成: 防火建築帯によるまちづくり【関東学院大学出版会】
- heritagetimes

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軍港都市 横須賀・下町地区の都市形成: 防火建築帯によるまちづくり
出版社 : 関東学院大学出版会
発行日 : 2023年3月31日第1刷
単行本 : A5版・240ページ
ISBN-10 : 4901734857
ISBN-13 : 978-4901734851
内容
これまであまり語られてこなかった戦後横須賀のまちづくり。本書は幕末の横須賀製鉄所の建設から始まり、海軍の影響下で進められた軍港都市横須賀の形成過程を、その中心市街地である「下町地区」を対象として読み解いていく。
明治期の絵地図に見る都市景観の変遷、街区内に取り残された関東大震災前の道路空間、戦後の都市計画と都市防災を目的とした防火建築帯の一例である三笠ビル等の分析と共に、横須賀下町地区のまちづくりの過程を多角的に描き出す。
目次
第1章 軍港都市 横須賀のなりたち
第2章 震災復興と下町地区のまちづくり
第3章 太平洋戦争前後の横須賀中心市街地
第4章 耐火建築促進法と全国の防火建築帯
第5章 下町地区の防火建築帯…三笠ビル
第6章 下町地区の防災建築街区…あずまビル
第7章 軍港都市 横須賀のまちづくり
著者:黒田 泰介
関東学院大学建築・環境学部教授。専門分野:イタリア都市形成史、歴史的建築の再生・利活用計画(レスタウロ)。
1967年東京都生まれ。1991年東京芸術大学美術学部建築科卒業。1995 - 98年M.カルマッシ建築設計事務所(フィレンツェ)に勤務。2000年 東京芸術大学大学院美術研究科博士課程修了。博士(美術)。
著書に「ルッカ 一八三八年」(アセテート、2006年)、「LUCCA 1838」( Maria Pacini Fazzi Editore、 2008年)、「イタリア・ルネサンス都市逍遥」(鹿島出版会、2011年)、共著に 「Twelve Houses restored in Japan and Italy」 (Aracne Editrice、 2011年)、「 リノベーションからみる西洋建築史」(彰国社、2020年)など。はじめに・第1章・第2章・第3章・第5章の執筆を担当。
著者:亀井 泰治
横須賀市生涯学習課文化財(建造物)担当。関東学院大学工学総合研究所研究員。公益社団法人横浜歴史資産調査会研究員。一級建築士。学芸員有資格。1960年横須賀市生まれ。1982年関東学院大学工学部建築学科卒業。2020年関東学院大学大学院工学研究科建築学専攻博士前期課程修了。横須賀市建築部営繕課、横浜市都市デザイン室(歴史を生かしたまちづくり担当)、横須賀市公共建築課長、横須賀市自然・人文博物館(近現代都市史担当)を経て、現職に至る。第4章・第5章・第6章・第7章・あとがきの執筆を担当。
本書は亀井泰治氏によって関東学院大学大学院工学研究科に提出された、2019年度修士論文『横須賀市中心市街地の都市形成と防火建築帯による下町地区の整備~横須賀における耐火建築促進法の適用・三笠ビル建設を例に~』(主査:黒田泰介、副査:水沼淑子、古賀紀江)を底本として、黒田による横須賀の都市形成に関する記述と合わせて、一般書として再構成したものである。
第1章から第3章において、幕末から戦後に至るまでの横須賀下町地区の都市形成史を概観している。関東大震災後に軍の意向を汲んだ都市計画の中での道路拡幅の場面では、町内会の記念誌からその様子を拾い上げるなど、軍都であるという横須賀市の特性を、資料に基づいて分かりやすく解説している。
第4章「耐火建築促進法と全国の防火建築帯」では耐火建築促進法成立の背景と、その実施策である防火建築帯の建設に活躍した今泉善一と日本不燃建築研究所の活動に注目し、鳥取市、沼津市、横浜市の防火建築帯造成の実例として紹介している。
第5章「下町地区の防火建築帯…三笠ビル」では、今泉が手がけた下町地区の防火建築帯「三笠ビル」に関して、三笠ビル商店街協同組合が保管する建築図面や資料を基に、その建設の背景と建築的特徴を考察している。昭和30年以前より三笠通り商店街有志による他都市視察に始まり、昭和34年11月27日の落成祝賀会まで神奈川新聞の記事等まで丹念に調べ上げた「三笠ビル建設の経緯」や第4章で取り上げた他都市との比較、復元平面図・側面図を用いて「都市美の統一」を目指した様子や、商店街の合意形成の様子を伝えている。
第6章「下町地区の防災建築街区…あずまビル」では、下町地区における防災建築街区造成法の適用について、当時の行政資料を基に検証しつつ、実現した防災建築街区のひとつであった「あずまビル」を取り上げて、その都市的な特徴を分析している。
第7章「軍港都市 横須賀のまちづくり」では、三笠ビル建設にみる都市計画手法が、人口減少社会を迎えた日本の都市計画にも示唆を与えるものとして、本書のまとめとなっている。
横須賀の都市形成史を知る上で必読の一冊と言える。また、横須賀市自然・人文博物館で令和7(2025)年5月21日まで開催中の、特別展示「市街地が語る横須賀~中央・追浜の先駆性と変貌~」も併せてご覧いただきたい。
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