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[歴飯_187]CABA Coffee Beans

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京浜急行電鉄久里浜線三崎口駅を降り、バスで三崎港に向かう。大正11(1921)年に三崎魚市場が建設されて以降、長らく遠洋漁業の拠点となってきた三崎港周辺には、風情のある蔵や商店が多数点在している。今回歴飯で紹介する「 CABA Coffee Beans」も三崎港バス停から全国でも珍しい料理の神様を祀る海南神社の参道沿いに建つ歴史ある蔵を活用した店舗である。

2階建ての蔵に参道に向かって下屋が付いた外観で、下屋の戸口廻り及び両端と腰壁は、人造石洗出しで仕上げられている。下屋の軒下には蛇の腹のように細かく折りたたまれた「蛇腹」と呼ばれる部材が取り付けられており、どことなく洋を感じる造りとなっている。

外壁の仕上げを含め、背後に建つ蔵とは造りが異なることから、下屋部分は後に造られたのかもしれない。そんなことを考えながら店内に入る。


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1階は厨房とカウンター席のみで、客席は主に2階に設けられているようだ。注文を済ませ階段を上がると、飴色の梁や柱に囲まれたテーブル席が広がる。壁際のテーブル席に着き、天井を見上げていると、ふと梁に付いている「棟札」に気が付いた。「棟札」とは、施主や設計者、大工等の名前の他、建物の建築年や改修履歴を記し、上棟式の際に棟木など建物の高いところに取り付ける木札である。店主によると当初からあったもののようだが、何と書いてあるのかは読めないとのこと。暫し眺めていたところ、下野国上都賀郡粟野村(現栃木県粟野町(後に鹿沼市に合併し廃止))の出身者が建てたのか、あるいは同村の大工が明治期に建てたようだということは分かった。昭和25(1950)年に基礎を造ったというような記述もあったので、外観で仕上げが異なっていた下屋の部分をこの時に建てた可能性もある。


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暫くすると、ハムチーズのサンドイッチとスペシャリティコーヒー(この日はブラジル)が運ばれてきた。同店で提供しているホットサンドのパンは、自家栽培の小麦を、脱穀、製粉と拘って製造している「三浦パン屋 充麦」のパンを使用している。[歴飯_44]リバイバルカフェの近くに店舗があるので、機会があれば是非訪ねて欲しい。サクッと焼き上げられたパンにハムとチーズがしっかりと入っており、食べ応えがある。豊かな香りのコーヒーと合わせて、贅沢な時間を味わうことができた。

三崎漁港周辺では、近年蔵や古民家をリノベーションした店舗が増えてきており、街並みを眺めながら散策するのも楽しい。散策の休憩で是非同店で一息ついてはいかがだろうか。



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