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[開港5都市]開港5都市景観まちづくり会議2026長崎大会 - 01 開港5都市長崎とは【THE HERITAGE TIMES YOKOHAMA KANAGAWA】



開港5都市景観まちづくり会議


開港5都市景観まちづくり会議は、安政の修好通商条約により日本最初の開港地となった5都市(函館、新潟、横浜、神戸、長崎)の市民団体が集い、景観、歴史、文化、環境などを大切に守り、愛着をもって育て、個性豊かで魅力あるまちづくりを行うため、互いにに交流を深め、情報交換を行い、課題を共有、協議する場として平成5(1993)年、神戸市から始まった会議である。

その後、毎年各都市において順(神戸 - 長崎 - 新潟 - 函館 - 横浜)に会議が開催され、その成果はそれぞれの活動に活かされ、市民団体相互の交流も盛んに行われるようになっている。

横浜も第1回大会から参加しており、第5回(1997)、第10回(2004)、第15回(2009)、第20回(2014)、第25回(2019)、第30回(2024)大会を地元で開催し、各都市の市民団体を迎え、交流を続けてきた。

会議名は「景観まちづくり」となっているが、景観やまちづくりに特化していない多様な市民活動も対象としており、その中でも「歴史を生かしたまちづくり」は、重要なテーマの一つとして、各大会において分科会等で取り上げられてきた。



参加者募集のリーフレットによると「『つながりをデザインする』〜持続可能な都市間コミュニティの形成~」を全体の大会テーマとし、令和8(2026)年10月31日(土)〜11月2日(月)の日程で、基調講演、パネルディスカッション、6の「テーマ分科会」、8コースの「まちあるき分科会」などが実施される予定となっており、今後の横浜・神奈川の歴史を生かしたまちづくりを伝えていく上でも、参考となる議論や事例の紹介も期待される。

そこで、THE HERITAGE TIMES YOKOHAMA KANAGAWA も歴史を生かしたまちづくりをテーマとした市民webメディア団体としてこの会議に参加することとした。

今後、この大会を通じて、横浜と同じ「開港の地」である各都市の「歴史を生かしたまちづくり」に関する情報を皆様にお届けしたいと考えている。


長崎:100年に一度の変革期における景観と歴史継承の挑戦


長崎は今、大きな時代の波の真っ只中にある。全国的な課題である急激な人口減少や少子高齢化が進む中、特に斜面地を抱える長崎特有の地域構造においては、空き家の増加や地域コミュニティの維持が喫緊の課題として浮き彫りとなっている。しかし、その一方で長崎は、その歴史的背景と地理的ポテンシャルを最大限に活かした都市再編を展開している。


100年に一度の再開発と「ナガサキ・アーバンルネッサンス2001構想」の継承

長崎の景観まちづくりを語る上で象徴的なのが、長崎駅周辺の劇的な変化である。西九州新幹線の開業に伴い、JR長崎駅周辺では連続立体交差事業、新駅ビル建設、外資系ホテルの進出、出島メッセ長崎の開設など、一体的な都市機能の再整備が推進された。新駅舎や駅前広場からは、降り立った瞬間に長崎港への視線が抜ける「ビスタライン」が考慮され、歩行者中心のウォーカブルな空間形成が進められている。


長崎駅新幹線ホームからの景観(2022)
長崎駅新幹線ホームからの景観(2022)

さらに長崎駅から徒歩圏内の旧三菱重工長崎造船所幸町工場跡地では、民間主導による大規模複合再開発「長崎スタジアムシティ」が開業した。

サッカースタジアム「PEACE STADIUM」、アリーナ「HAPPINESS ARENA」、ホテル、オフィス、商業施設が集積するこの施設は、試合開催日だけでなく365日人々が集う地域創生の核となっている。大型施設でありながらも、浦上川沿いの親水緑地の整備や圧迫感を抑えたガラスファサードのデザイン、周辺の地形や眺望景観に配慮した高さ制御など、長崎駅周辺の再開発エリアから連続する新しい回遊軸と街並みを生み出している。


長崎スタジアムシティ(画像出典:長崎市HP)
長崎スタジアムシティ(画像出典:長崎市HP)

こうした都市変革のベースには、1980年代後半に策定され都心臨海部の再開発を牽引してきた「ナガサキ・アーバンルネッサンス2001構想」の理念が存在する。同構想が掲げた「安全、快適で文化的な生活が享受できる人間環境都市」や「水辺の都市軸」といった臨海部再生の視点は、港湾都市としてのアイデンティティを根底に置き、陸と海が密接に織りなす空間を都市の魅力として再構築するものであった。その基本理念は、新幹線時代の新たな玄関口づくりやスタジアムシティの開発においても脈々と引き継がれている。


環長崎港夜間景観向上基本計画と「世界一の夜景都市」への取組み

昼間の都市空間再編と並行して、長崎の魅力を一層高めているのが夜間景観のマネジメントである。「1000万ドルの夜景」とも評され、モナコや上海とともに「世界新三大夜景」にも認定された長崎の夜景は、港を中心とした地形と市街地の灯りがつくる独自の美しさを持っている。長崎市および長崎県は、戦略的に夜間景観の向上を図るための指針として「環長崎港夜間景観向上基本計画」を策定した。



本計画では、「世界一の夜景都市」を目指す将来像とし、主要な視点場(稲佐山公園展望台や鍋冠山公園展望台など)から一望できる環長崎港一帯を対象区域に選定。遠景および中・近景の観点から取り組みを体系化している。

計画内では、「長崎における都市照明のための7つの視点」(快適な陰影、適正な色温度対比、グレアフリーなど)に基づき、以下の柱を中心に施策を推進している。


  • 「面」で魅せる斜面地の灯りの整備:街路照明(長崎灯)の整備や住宅地の生活光が織りなす背景光の調和。

  • 水際線の顕在化:護岸の手摺照明や水際に近い建造物・緑地のライトアップによる港のシルエットの演出。

  • 点と線」で歩いて楽しむ夜間景観:ランドマークのライトアップや軸線の照明整備により、夜間においても「歩いて楽しいまち」を実現。


大浦天主堂や眼鏡橋をはじめ、新長崎駅ビルやスタジアムシティといった新たな都市のランドマークにも、この基本計画に基づく質の高い照明デザインが組み込まれている。


景観計画の変更と「出島地区」の都市景観大賞受賞

ハード整備や夜間景観の形成が進む中、長崎市はまちの「保全と活用」に向けた制度的アプローチも強化してきた。

長崎市景観計画の変更においては、歴史的・自然的景観を網羅的に守るため、景観形成重点地区(中島川・寺町地区や東山手・南山手地区など)の指定・拡大や、世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」等の構成資産とその緩衝地帯を守るための景観保全の範囲が整備された。

こうした取り組みの成果として、令和3年度(2021年度)の都市景観大賞(都市空間部門)において「出島地区」が国土交通大臣賞を受賞した(長崎県内初の受賞)。出島和蘭商館跡の本格的な復元整備、出島表門橋の架橋、そして周辺の夜間景観整備が一体となり、「歴史の街と現代をつなげて質の高い空間と景観を生み出した」として高く評価された。


歴史的遺産・建造物の再生と新たな活用

近年、長崎市において特に際立っているのが、歴史的建造物の保存修復と積極的な公開・活用の動きである。

その代表例が、国指定重要文化財である「旧長崎英国領事館」の保全修復工事である。明治期の洋風建築としての本質的な価値を緻密に蘇らせるとともに、歴史展示施設や美術展示室を備えた新たな拠点としてリニューアルオープンを果たした。

また、グラバー園内の重要文化財建物の保存修理や、旧香港上海銀行長崎支店記念館をはじめとする居留地文化を伝える建造物の耐震・整備も推進され、歴史的建造物を「飾る保存」から「地域の中で活用する保存」へと展開している。


旧長崎英国領事館(画像出典:長崎市HP)
旧長崎英国領事館(画像出典:長崎市HP)
長崎市歴史的風致維持向上計画と長崎居留地歴まちアクションプラン

長崎のまちづくりの本質は、単なる建造物の保存にとどl9まらず、そこに息づく人々の暮らしと歴史的風致を未来へつなぐ点にある。長崎市は令和2(2020)年3月に「長崎市歴史的風致維持向上計画」の国認定を受け、歴史まちづくり法に基づいた施策を展開してきた。

その重点区域である東山手・南山手エリア(長崎居留地エリア)においては、官民協働の組織である「長崎居留地歴史まちづくり協議会」と長崎市が連携し、将来像を示す「長崎居留地歴まちグランドデザイン」(令和3年11月策定)および具体的な事業を整理した「長崎歴まちアクションプラン」(令和5年2月策定)を推進している。



本アクションプランでは、居留地の異国情緒溢れる街並みを維持・活用しながら、以下のような多様な取り組みを官民で推進している。


  • 斜面地移住・定住の推進:空き家・空き地の調査および活用希望者とのマッチング。

  • コンテンツ創造と地域資産の継承:「長崎居留地まつり」の開催や、地域資産である「ナガサキタータン」の普及・活用。

  • 公共空間・景観の整備:大浦川周辺環境整備、洋館等のユニークベニュー(特別な利用)開発、景観まちづくりガイドラインの策定。


これらの官民協働の取り組みは評価が高く、令和7年度の「まちづくりアワード(構想・計画部門)」において国土交通大臣賞を受賞するなど、人口減少時代における持続可能な歴史まちづくりのモデルとして脚光を浴びている。


第4回「まちづくりアワード」国土交通大臣賞 表彰式(令和7年7月31日)(画像出典:国土交通省記者発表)
第4回「まちづくりアワード」国土交通大臣賞 表彰式(令和7年7月31日)(画像出典:国土交通省記者発表)

長崎は、長崎駅周辺の先進的な都市再整備や長崎スタジアムシティといった新たな開発、「環長崎港夜間景観向上基本計画」に基づく夜景施策、そして旧長崎英国領事館をはじめとする歴史的建造物や居留地エリアでの官民協働による歴史的風致の維持向上という、多層的なアプローチを統合させている。「ナガサキ・アーバンルネッサンス2001構想」以来培われてきた都市デザインの精神を守りながら、固有の歴史と都市ポテンシャルを研ぎ澄ましていく長崎の試みは、開港都市としての歴史を持つ全国の都市にとっても大きな示唆を与えるものとなっている。

今回の開港5都市景観まちづくり会議においては、基調講演から分科会等の取材を通じてこれらの取り組みの背景や具体的な取組みにも迫っていきたい。



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