[レポート]三溪園で過ごすお正月 庖丁式
- heritagetimes

- 2020年1月3日
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新春の三溪園、鶴翔閣(横浜市指定文化財)にて開催された四条流の庖丁式を見学した。三溪園での開催は平成15(2003)年からで、今年で18回目となる。
庖丁式とは、平安貴族の宮中での伝統行事の一つ。食材に直接手を触れることなく、庖丁と箸を用いて、食材を切り分け、並べる儀式を指す。食材毎に異なる道具を用い、例えば魚をさばく場合は、真魚箸(まなばし)、真魚庖丁(まなぼうちょう)を用い、俎板(まないた)の上で、真魚(まな:良い魚の意味)をさばいていく。起源は諸説あるそうだが、一般には四条中納言藤原山蔭卿が清和天皇の命により、庖丁の作法をまとめたことに由来するそうである。これにちなみ、会場の床の間には、藤原山蔭卿の軸が掛けられていた。 普段は、中々見ることのできない儀式とあり、会場には30分前に着いたのだが、既に半分ほど席が埋まっていた。

主催の横浜萬屋心友会による挨拶、庖丁式の簡単な説明の後、興禅寺雅楽会による「雅楽」の演奏が始まる。この頃には立見も出るほどの混雑となっていた。 順次儀式は進み、庖丁師が入ってくると、介添人も含めて先ず食材に対する拝礼から始まる。俎板あらため、真魚庖丁あらため、真魚箸あらためと使用する道具を確認する儀式が続き、いよいよ真魚(今回は鯛)の捌きが始まった。新春に相応しく、鯛を宝舟に見立て真魚庖丁と真魚箸だけで捌き、並べていく様子は、息を凝らして見入るほど素晴らしい。ものの1時間ほど(庖丁師が入ってから30分ほど)で宝舟が完成した。

余談ではあるが、会場の鶴翔閣は、明治35(1902)年に原三溪が自邸として建設した建物で、関東大震災や戦災を経て改変されていたものを、平成10(1998)年から2年ほどかけて当初の姿に復元したものである。庖丁式が行われたのは、楽室棟と呼ばれ、三渓自らが画家を招き、コレクションの鑑賞や論評を行った部屋である。外観は茅葺き屋根の純和風建築の様相を呈しており、楽室棟も広縁、床の間などが見られるが、椅子座にも対応できるよう、天井が高く造られている。奥の書斎棟も和のテイストの中に暖炉やシャンデリアが設けられ、和に包まれた洋の不思議な空間を見学できる。来年のお正月は是非庖丁式と鶴翔閣の建物を見学していただきたい。


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