[歴飯_21]永楽家
- heritagetimes

- 2019年12月24日
- 読了時間: 2分
更新日:2022年9月6日

JR逗子駅から葉山一色行きのバスに乗り、海岸通りの中程、元町のバス停近くには数棟の商店建築が並ぶ。葉山の老舗和菓子店「永楽家」もその一軒である。明治42(1909)年に創業し、長く地元で親しまれて来た。葉山御用邸が明治27(1894)年に造営されると、葉山町は一大別荘地として栄え、戦前に至るまで皇族、華族の別荘、貸し別荘、別荘での生活を支えた商店で賑わってきた。
「永楽家」の和菓子もこうした別荘に来る人々に愛されてきたものだろう。あわびを型どった「あわび最中」は人気で、週末は時間によって売切れになってしまうこともある。風味豊かな粒あんとサクサクの最中の皮がよく合う。森戸の夕陽など葉山の景色を映した「あわび煎餅」の型は大正時代のものだそうだ。 現存の店は昭和初期に建替えられた建物だそうだが、それでも100年近い外観は趣きがある。出桁造りで正面の千本格子(細い縦格子)が目を惹く。店内には味わい深いレジスターや煎餅ケースが現役で使われており、建築時の古い写真等も展示されている。
余談ではあるが、葉山の海岸通りの旧家は道に沿って平行ではなく、建物が東西軸に沿うように建てられている。これは陽当り等を考慮したためであろうが、正面に三角形の空地ができる。そんなことを考えながら、老舗の和菓子を食べて海岸通りを散歩してみても面白いのではないだろうか。

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