• heritagetimes

[歴飯_86]港の灯り/ANCHORS CAFE



JR逗子駅東口のバスロータリーから葉山一色行きのバスに乗り、海沿いの狭路を進むと森戸神社のバス停を過ぎた辺りから片側が海に開けた場所に出る。真名瀬(しんなせ)と呼ばれ、森戸海岸から続く小さな海岸は、正面に江ノ島と富士山が見え、撮影スポットとしても人気を集めている。海岸の背後に聳える独立丘陵「三ケ岡」を背負った一画は、かつてから漁師町であり、現在も近くの漁港から漁船が出入りしている。

真名瀬のバス停を降り、家々の間の路地を覗くと見えてくる古民家が1棟貸しの宿「港の灯り」と併設するカフェ「ANCHORS CAFE」である。「ANCHORS CAFE」は、主に宿の宿泊者が利用するカフェであったが、令和3(2021)年より、単独での営業を開始した。建屋は、元は漁師の住まいであり、当初から母屋(港の灯り)と離れ(ANCHORS CAFE)の2棟であったそうだ。



葉山が別荘地として賑わっていた時代には、本業の傍らで母屋や離れを貸し出す「貸別荘」と呼ばれた別荘産業があった。貸し出す方の建屋を立派に造り、貸手はもう一方に移って生活しながら、そのシーズンを過ごしていたそうだ。「港の灯り」や「ANCHORS CAFE」の建屋が「貸別荘」を営んでいたかは不明だが、母屋を見ると、高床式であり、床下には取外し可能な羽目板が付いている。室内は天井が高く、開放的な造りとなっている。また、母屋、離れ共に改修前から台所等の水場があったそうである。こうした点を踏まえると貸別荘として使われていたかもしれない。宿は通常宿泊者限定となっているが、イベント時等は室内にも入ることができる。




カフェは江ノ電稲村ヶ崎駅近くの干物カフェ「ヨリドコロ」の姉妹店であり、週末朝は干物定食が食べられる。早速塩鯖の干物定食に卵かけご飯のセットを注文した。干物が焼けるまでの待ち時間で卵の白身を専用の泡立て器でメレンゲが立つまで泡立てる。熱々のご飯に盛ったメレンゲに黄身を乗せ、甘口醤油を垂らす。ふわふわの卵かけご飯は絶品だ。脂の乗った塩鯖の干物も仄かな甘味があり、ご飯が進む。食後は葉山で自家焙煎を営む「葉山Log Cabin Coffee」の珈琲を飲みながら2階席からベランダに出る。家々の屋根越しに見える海に反射する光が眩しい。ベランダからは母屋の屋根上に設けられたデッキに上ることもでき、夕方はここから眺める夕陽と富士山が素晴らしい。毎週金曜日は営業時間を2時間延長し、19時まで飲食が楽しめる。段々と暗くなっていく空を眺めながら七輪で干物やさつま揚げを焙るのもまた一興である。





閲覧数:122回0件のコメント