top of page
heritagetimes

[レポート]「都市デザイン 横浜」展 〜個性と魅⼒あるまちをつくる〜【THE HERITAGE TIMES YOKOHAMA KANAGAWA 】



横浜市は、昭和46(1971)年、全国に先駆け、市役所内に「都市デザイン」担当を設置し、「歴史を生かしたまちづくり」をはじめとした、都市デザイン活動を50年もの間進めてきた。本展では、これまで積み重ねてきた50年を振り返り「個性と魅⼒あるまち横浜」に向けて時代とともに歩んできた都市デザインの具体的な取組を紹介する。

会場はみなとみらい線馬車道駅に直結しており、「旧横浜生糸検査所附属生糸絹物専用B号倉庫及びC号倉庫」として横浜市認定歴史的建造物に位置づけられている「KITANAKA BRICK&WHITE」 1FのBankART KAIKO。

THE HERITAGE TIMES YOKOHAMA KANAGAWAでは、会期初日である3月5日(土)に実施された関係者内覧会に参加した。



会場に向かうために、馬車道駅に降り立つと、コンコースで早速、同展の関連展示が目に飛び込んでくる。

駅コンコース中央のドーム空間の上部からは、都市デザイン活動の一環として保全活用されてきた歴史的建造物の大きなタペストリーが下がり、来場者を迎えてくれる。改札脇にはそれらを解説するパネルも用意されている。改札を出て右手、横浜市庁舎方面に向かうと、エスカレーター脇の2階手すりから、馬車道商店街、元町商店街、山手の街並みのタペストリーが下がり、会場へのアプローチを飾っている。


なお、会場向かいの横浜市役所1階通路では、都市デザイン活動のテーマを年代ごとに紹介した掛軸型のタペストリーを1970年代~2010年代までまとめて展示している。 このタペストリーは、昨年から2階プレゼンテーションスペースで展覧会のプレ展示として5期に分けて展示されてきたものだが、一堂に並べて見ることができるのは今回が初めて。並べてみると全体がグラデーションになっているカラースキームのようで美しい。展覧会への期待が膨らむ。



展覧会エントランスに掛かる大きなパネルの赤い題字の背景には、横浜の都市デザイン活動50に関連するアイコンが文様のように配されている。このキービジュアルは、古くから横浜の都市デザイン活動をグラフィックデザインの側面から支えてきたNDCグラフィックスによるもの。また、元町の老舗キタムラ提供のグリーンで彩りが添えられていた。



定刻の10時をすぎ関係者が概ね集まったところで、主催者から挨拶があった。 まずは主催者を代表して、横浜都市デザイン50周年記念事業実行委員会会長の国吉直行氏から「まだ都市デザイン活動が世間で認められていない時期に、横浜で都市デザインチームが発足してから50年が経ち、その間、市長が変わる中で盛衰もあったが、その都度、地域の方々からの後押しがあったからやってこれた。これを機会に次の横浜を一緒につくっていきたい。」と話し、最後にこの展示会をはじめとした横浜都市デザイン50周年記念事業に協賛・協力した個人・団体に対する謝辞で挨拶を締めくくった。



続いて、横浜市都市整備局局長の小池政則氏から、「横浜都市デザインの50周年が、これほど大きな企画になるとは考えていなかったが、皆さんのご意見や協力により、このような展示会を開くことにまでなった。都市デザインに対する市長の期待も大きく、今後、人口減少社会の中でどのような役割を果たしていくかなど、未来に向けた取組を考えるきっかけとなる展示会となるのでは。」と展示会から先の展望を見据えた挨拶があった。



挨拶の後、展覧会の企画責任者である横浜市都市整備局都市デザイン室の桂有生氏より、展示内容の説明があり、その後、見学がスタートした。

会場は大きく5つのパートで構成されており、それぞれのパートを関内地区に設置されている矢羽型サインを模したサインで順に沿って誘導される仕掛けとなっている。



「001 プロローグ / 都市 横浜 : Prologue」では、都市デザインのプロジェクトマップと、北仲エリアマネジメント協議会から提供された、北仲地区を中心とした、関内・みなとみらい地区の都市模型が置かれており横浜市の全体を俯瞰し、都市デザインのプロジェクトと現在の街の姿を把握できる。リアリティのある都市模型の展示は圧巻だ。



「002 「都市デザイン 横浜」の誕⽣:Genesis」では、グラフィックを主体に、横浜の歴史なぞりながら、なぜ横浜が都市デザイン活動をはじめるに至ったのか、そもそも都市デザインとはどのような目標を持ってスタートしたのかをひもとく。ここでは、都市デザイン担当がスタートした時から、市役所が現在の庁舎に移転するまでの間、使い続けられていた大テーブルとクスノキ広場の図面などが展示されている。いかに都市デザインが「都市の文脈」というものを大切にしてきたを知る上でも重要な展示となっている。



「003 都市デザイン50 年の実践 : Practice」では、大規模プロジェクトからストリートフニチャーまで、大小様々なプロジェクトの「質」と「量」を、ダイナミックで迫力のある映像で紹介している。まるで街にいるかのような錯覚さえ覚える大画面で見る歴史的建造物などの映像は必見だ。



「004 都市デザイン手法の展開 : Progress」では、都市デザインのこれまでの系譜の図解や年表により、「歴史を生かしたまちづくりの展開」など都市デザインの主な取組手法を題材に、その展開してきた過程を紹介している。

ここでは、いずれも認定歴史的建造物となっている「横浜情報文化センター(旧横浜商工奨励館)」と「横浜地方裁判所」、日本最古の鉄筋コンクリート造オフィスビルと言われている「旧三井物産横浜ビル」の前の部分を切り取った日本大通りの超精密模型が圧巻だ。



「005 横浜・⾵景の解剖 : Anatomy」では、普段見ている街の風景が、どのような都市デザインの工夫の積み重ねによってできているのかを解剖して、解説している。ここでも日本大通りの一場面が切り取られ解剖されているので、先ほどの模型と見比べながら見ていくと、また理解が深まる。



どの展示も見応え十分の展示であり、またサインや床面表示など、まるで横浜の街を歩きながら、都市デザインの解説を聴いているような、細やかな表現も楽しい。

展示の中では、個別の歴史的建造物の解説や、保存技術、法令等の説明はないが、昭和63(1988)年に「歴史を生かしたまちづくり」をスタートさせた都市デザインの文脈を知るためにも一度は訪れていただきたい内容となっている。チケットは通期で、一度購入すれば、期間中何度でも見学することができるので、是非、ご覧いただきたい。



エントランスに戻ると、ショップではこの展覧会の内容を含め、これまでの50年の取組を紹介する展覧会カタログが販売されていた。価格は3,000円・税込。展⽰では紹介しきれない仕事の数々や、関係者や専⾨家による書き下ろしの解説や対談、豊富なビジュアルが盛り込まれているので、会場で是非買い求められたい。

会場で購入した場合、カタログとチケット1枚がセットで3,000 円とお得なセット割引もあり、また先着800名に、展覧会開催を記念したオリジナルスイーツ(伊藤有壱氏のイラスト・お菓子を通じて横浜の歴史・文化を継承する」を信念とするモンテローザ による)がプレゼントされる。





<開催概要>

・タイトル:「都市デザイン 横浜」展 〜個性と魅⼒あるまちをつくる〜

・開催⽇程:令和4(2022)年3⽉5⽇(⼟) - 3⽉29 ⽇(⽕) 午前 11 時から午後7時

・会  場:BankART KAIKO

      (横浜市中区北仲通5-57-2 KITANAKA BRICK&WHITE 1F)

・料  ⾦:⼀般:700 円(横浜市内在住:500 円)/⼤学・⾼校⽣:300円

      中学⽣以下・障害者⼿帳をお持ちの⽅とその付き添い1名:無料

・主  催:横浜都市デザイン50 周年事業実⾏委員会、横浜市都市整備局




※THE HERITAGE TIMES YOKOHAMA KANAGAWA は「横浜の都市デザイン50周年事業」の協賛パートナーです。







閲覧数:170回0件のコメント

Comments


bottom of page