[歴飯_96]古民家cafe「あおいと、【閉店】
更新日:8月16日

JR逗子駅西口を出て線路沿いに東逗子方面に向かう。左手に見える熊野神社を過ぎ、細い路地を入る。突き当りのゆるやかな坂道を登っていくと、右手に暖簾の掛かった古民家が見えてくる。
暖簾をくぐり、玄関を入ると右手に竹細工の付いた丸窓、玄関上には掛障子が付く。床ノ間脇にある付け書院の欄間には竹と雀の透かし彫り等、築80数年の古民家は、住宅の離れとして使われていたというだけあって、随所に施された職人技に目を奪われる。玄関から続く2間の続き間と縁側沿いの庭の見える位置が客席となっており、正面のキッチンスペースに面して、カウンター席も付く。
店の名は「「あおいと、」。鉤括弧ではじまり、読点「、」で終わる少し変わった店名は、「物語の書き初めのような」という思いが込められている。

押入れを改修したであろう壁側のソファー席に着き、店内を見回すと、部屋の中央に設けられた囲炉裏が目を惹いた。昼時に来訪したということもあり、今回はオムライスを注文した。初めに提供されたサラダは、焼きナスとレタスを胡麻のドレッシングで合えており、ドレッシングの染みたナスが良いアクセントとなっていて美味しい。ふわふわの卵のオムライスもデミグラスソースと良く合っており、贅沢な気分に浸れた。

予約すれば夜営業で囲炉裏焼きの料理を楽しめると聞き、夜に再訪を決めた。数日後、再び細い路地を登り、夕暮れに時に灯りの漏れる店内に入る。玄関の照明に照らされる欄間の透かし彫りが良い雰囲気である。部屋の中央、炉端に座ると火の入った炭が運ばれてきた。中央に小さくまとめた炭に五徳を乗せ、網を敷いて焼き上げる食材は、仄かに残る炭のこうばしい香りと合わさって一際美味しさを感じる。

この日は、小籠包やニラ饅頭、アスパラガス等の野菜を中心とした食材を焼いていただいた。最後に、囲炉裏で焼き上げた長ネギを入れた素麺が提供された。炭火でじっくり焼き上げた長ネギは甘くとろみがあり、さっぱりとした素麺、スープと絡んで美味しい。店主の地元岩手のクラフトビールをはじめ、多種のアルコールメニューも取り扱っているので、囲炉裏焼きの料理と合わせて色々試してみるのも楽しいと思う。

店主によると、岩手では、冬によく囲炉裏を囲んで皆が集って食事等を楽しんでいたそうだ。ここでもそんな光景がつくりたいと思い、店内に囲炉裏を設けたそうである。店内の改修やデザインは店主自らが少しずつ手掛けているとのことで、今後どのように変化していくのか楽しみである。


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