[歴飯_103]蕪珈琲
- heritagetimes

- 2022年9月14日
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江ノ電長谷駅を降り、観光客で賑わう通りを長谷寺方面に進むと、通りに面して日蓮宗四条山収玄寺の門が見えてくる。収玄寺は、第2代執権である北条義時の孫にあたる北条(江間)光時に仕えた四條金吾頼基の屋敷跡に建てられた由緒ある寺院である。境内に建つ「四条金吾邸址」の石碑に刻まれた毛筆は海軍大将であった東郷平八郎による。門前から見える季節の草花に誘われ、境内に入ると、本堂に向かって左手、木々の間に小さな家屋が見えてくる。

かつて住居として使われていた古民家を改修した蕪珈琲は、店内のどの席からも境内の草花が見えるよう設計されており、窓から心地よい木漏れ日が射し込む。床は全て土間仕上げとなっており、木の柱や梁、聚楽壁との対比も美しい。場所ごとに異なるスツールも客席の雰囲気に合わせてオリジナルで造られたものとのことである。改修は東京藝術大学の藤村龍至研究室が手掛けており、往来の喧騒から切り離された穏やかな長谷時間を体験できる素敵な空間となっている。

今回は床の間を背にした窓際のカウンター席に着き、「蕪フルーツサンド」を注文した。薄手の食パンにクリームとフルーツが入ったシンプルな見た目だが、季節のフルーツ(今回は梨と桃を注文)の甘みや酸味を引き立てるクリームが美味しい。マスカルポーネチーズを使って作られたクリームは甘さを抑えながらも、コクをプラスすることで、フルーツがより際立つよう工夫されており、人気メニューというのも頷ける逸品であった。この他、拘りのクリームを使ったレモンケーキや濃厚なフルーツシロップをかけたかき氷なども人気とのことなので、再訪時には試してみたい。
店名の「蕪」とは、野菜の「かぶら(カブ)」だけでなく、「雑草の生い茂った土地」という意味も持つ。かつてはそんな場所であったこが店名の由来だそうだ。今では、花桃、百日紅、椿、蝋梅、紫陽花など四季折々の草花が生い茂る様子を窓辺から楽しむことができる。長谷寺や御霊神社、鎌倉大仏で有名な高徳院等からも近くアクセスも良いので、長谷散策の折には是非立ち寄ってみてはいかがだろうか。

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