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[歴飯_114]てぬぐいカフェ 一花屋(いちげや)



鎌倉市長谷、長谷寺の隣に位置し、境内を江ノ電が通ることで有名な御霊神社。その参道脇に緑に包まれて佇む古民家がある。築約90年の古民家の風情を活かした「てぬぐいカフェ 一花屋」は、質素でありながら豊かな江戸時代の庶民生活への憧れから、その象徴的な存在として「手ぬぐい」をテーマにしたカフェを展開している。



店名のとおり、玄関をくぐると店内の各所に並べられた多数の「てぬぐい」が出迎えてくれる。招き猫や福助、伝統文様等々一枚ごとに異なる図柄は、どこかレトロな雰囲気が感じられ、愛くるしい。式台前の沓脱石で靴を脱ぎ、客席となっている居間に入ると、ガラス戸が開け放たれた縁側が映画館のスクリーンのように庭の緑を室内に映し、思わず唸ってしまう光景が拡がっていた。欄間に設けられた摺りガラスを通し射し込む淡い光と、縁側の天井から下がるペンダントライトが放つ光が重なり、店内は光と深い陰影がつくる幻想的な雰囲気に包まれている。客席は、庭に面した縁側と、続く12畳程度の広い座敷に設けられており、縁側のちゃぶ台と座布団の昭和レトロを満喫でき座席は離れてみていても絵になる。座敷と縁側を隔てる鴨居に設けられた油煙抜き障子(鴨居に設け室内の換気に用いる障子)が付く開口部は、緩やかな曲線を配したかまぼこ型となっており、縁側の天井は檜皮仕上げとなっている等、随所に拘りを感じる造りとなっている。



床の間前の箱火鉢をテーブルにした座席に着き、酒粕レモンケーキとチャイを注文した。

酒粕レモンケーキは酒粕の甘みと風味をしっかり感じられる素朴な味わいで、ゼリーのような食感も美味しい。チャイと合わせて、ほっと寛げる一時を味わうことができた。同店では、他にも酒粕のカレーや発酵に拘った酒造りで人気の「寺田本家」(千葉県)の日本酒等のメニューもあり、気になるものが多かったので、長谷散策の折には、是非再訪してみたい。店内の「てぬぐい」は販売もされているので、カフェを満喫した後のお土産としてみてはいかがだろうか。



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