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JR桜木町駅西口から「野毛ちかみち」を抜け、横浜市中央図書館や野毛山動物園方面に向かうと、動物園通りの入り口に建つグレーの店舗が目に留まった。外観は大分改修されているが、脇から見ると「蔵」持った建物の造りに気付く。この「蔵」に令和2(2020)年9月にオープンしたのが、今回の歴飯で紹介する「THE SHARAKU」である。
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店内に入ると、正面の煉瓦壁が目に入る。煉瓦は長手のみ積んだ段の上に短手のみ積んだ段が乗る「イギリス積み」と呼ばれる積み方を取っている。店員に話を聞くと、店内は大分手を入れて改修しているが当初からあった煉瓦壁は残したとのこと。煉瓦に向き合うバーカウンターが素敵である。
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階段を上がり2階席に案内される。2階は通り側のテーブル席と白く塗られていて分かりにくいが、2階まで続いている煉瓦壁の奥にも客席が設けられている。この煉瓦壁の奥が外から見ていた蔵のようで、経年の味わいを感じる立派な梁や小屋組みが蔵を支えており、木の骨組みに煉瓦を積んだ木骨煉瓦造の蔵と思われる。
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昼時の来訪だったこともあり、席に着きガーデンサラダと魚介のパエリアを注文する。先ず付き出しとして、ショットグラスサイズのガスパチョスープが提供された。ほのかにオリーブオイルの香りのするなめらかな飲み口だが濃厚な味わいで、丁寧に作られているのがわかる。一口で一気に飲んでしまった。
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サラダのドレッシングはバルサミコの様な特徴的な酸味だが、さらりとしている。バルサミコと同様にぶどう酢のシェリービネガーを使っているそうだ。パルメザンと蜂蜜も程よいアクセントとなっていて、フレッシュトマトやレタス、水菜が一段と美味しくいただけた。スープとサラダを食べ終わる頃、熱々の鉄板に乗ったパエリアが運ばれてくる。エビやムール貝、アサリの出汁がよく効いており、濃厚な魚介の旨みを味わうことのできる逸品となっていた。同店では、スペインバスク地方の郷土料理をテーマにしているそうなので、再訪時は他の料理も味わってみたい。
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帰宅後こんな場所に建つ「蔵」の存在が気になったので、この「蔵」について調べてみた。以前この場所で店を構えていた「KULA KULA Dining」の取材記事等によると、上保龜次郎(うわぼかめじろう)という質商が明治33(1900)年頃に建てた蔵とのことである。横浜市立中央図書館所蔵の横濱市誌を調べてみたところ、「上保龜次郎 花咲町二ノ六○番地 質商」の記載を確認することができた。これまでパブやバー、ダイニングなど長年飲食店として活用されてきたそうだ。横浜の街の発展を長年見続けてきた貴重な蔵が桜木町駅前にあったとは、驚きである。是非貴重な「蔵」の中で絶品パエリアと横浜の歴史を味わっていただきたい。
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