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[歴飯_190]Takeru Quindici 北鎌倉本店

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北鎌倉の地に住み、鎌倉の風土に根差した建物の設計活動を行った故榛沢敏郎。浄智寺境内に在る山口文象設計の茶室「常安軒」と「夢窓庵」を引継ぎ、修復したことでも知られる建築家である。現在茶室は「宝庵」として、イベント等で開放されている。JR横須賀線北鎌倉駅周辺には、榛沢氏が手掛けた建物が多数現存する。北鎌倉駅前の喫茶「門」、「やま本きそば」、北鎌倉ギャラリー「えにし」、[歴飯_180]でも紹介した「喫茶吉野」等、日本の伝統建築とモダニズムを融合させたような作風が特徴的な建物が点在している。今回の歴飯で紹介する「Takeru Quindici 北鎌倉本店」もその一つである。


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北鎌倉駅前広場から浄智寺方面へ向かう。東慶寺門前脇に建つ平屋の古民家が「Takeru Quindici 北鎌倉本店」である。沿道側に小さいながらも風情を感じる前庭、その背後にやや太めの格子が付く。アプローチは大小を組み合わせた敷石、玄関先の小さな蹲、篠竹のような細い竹の天井、障子戸の戸口と、まるで茶室のような店先となっている。


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一歩店内に入ると床はタイルのように目地を切っているが、恐らく炭入りモルタルの左官仕上げで、黒っぽい光沢のある梁や柱と合わせて、店内に陰影を深い陰影を作り出している。今回は出入口近くのテーブル席を案内されたが、奥にはカウンター席もあるようだ。目の前が交通量の多い道路側だが、屋外に設置されている太目の格子のおかげで、往来の人や車を気にせず食事に集中できる。


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今回はイタリア製の薪窯で焼き上げたピザ3種(マリナーラ、マルゲリータ、クワトロフォルマッジョ)を注文した。注文が入ってから丁寧に焼き上げるピザはふかふかの生地にとろとろのチーズ、マリナーラやマルゲリータは酸味や風味をしっかりと感じるトマトソースが美味しかった。クワトロフォルマッジョはチーズに無花果の甘みと生ハムの塩気が良く合っており、満足感に浸れる味わいであった。同店は予約をしないと中々入るのは難しいが、古都鎌倉の風情を感じる建築で、美味しい料理と上質な時間を是非一度味わっていただきたい。

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