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[歴飯_196]ARUNŌ -Yokohama Shinohara-「YUKI’s BARu」


JR新横浜駅の篠原口から横浜市営地下鉄岸根公園駅方面へ4〜5分歩くと、旧横浜篠原郵便局をリノベーションした複合施設が見えてくる。それが今回、歴飯で訪れた「ARUNŌ -Yokohama Shinohara-」である。

いかにも元郵便局らしい白いタイルが貼られた鉄筋コンクリート造平屋建ての建物。正面のスロープを進み、赤い鼻隠しが印象的な庇の付いた自動ドアから中へ入る。



内部は開放的な大きな空間となっており、入って右手前にはL字型のカウンターが設けられ、その中にキッチンがある。ここがシェアキッチンとなっており、訪れた日には酒と肴、おにぎりを提供する「YUKI’s BARu」が出店していた。

カウンターに貼られた案内に沿って、飲み物(アイスティー)、前菜(ふわっとナス)、おにぎり(鮭)を注文し、テーブル席に着く。カウンターでは常連客と思われるご夫婦が、店主と和やかに会話しながら食事を楽しんでいる。



改めて室内を見渡す。建物の内装は床材の一部を除いてほぼ撤去され、構造体が剥き出しとなっている。郵便局の業務スペースだった南側の道路沿いがシェアキッチンとなっており、それ以外の部分はシェアハウスとシェアラウンジになっている。シェアキッチンを囲む壁面には「マドグチ」という、棚を貸し出して趣味の品やハンドメイド作品などを販売できるチャレンジショップ的なスペースが設けられている。



改修設計を担ったのは、篠原エリアを拠点に「新横浜食料品センター」などを手がけるウミネコアーキ(代表・若林拓哉氏)。この建物は昭和50(1975)年に建てられ、横浜篠原郵便局として地域に親しまれてきた。令和3(2021)年に駅前の新しいビルへ郵便局が移転し空き施設となったところを、ウミネコアーキが一棟買い上げて複合施設として再生し、令和4(2022)年に「ARUNŌ -Yokohama Shinohara-」としてオープンした。

ARUNŌという名前は、郵便局と同社の社名モチーフである「鳥」を掛け合わせ、「伝書鳩」を想起したことから、『シートン動物記』の作品「伝書鳩アルノー」にちなんで名付けられたという。



外観を見ると、鉄骨造の柱や梁のフレームが建物の外側に現れた特徴的なアウトフレーム構造となっており、当初の建築を設計した日本逓信建築事務所(現・ニッテイ建築設計)のデザインがそのまま残されている。同事務所は全国各地で数多くの特定郵便局を手がけたことで知られる。

しばらくすると、注文した品がテーブルに運ばれてきた。ふっくらと握られたおにぎりは食べ応えがあり、ナスはとろとろ。甘みのあるお米のおいしさに誘われ、あっという間に平らげてしまった。



会計を済ませて外へ出ると、夏の強い日差しが待っていた。通りから新横浜駅方面を見ると、新横浜プリンスホテルや駅ビルが高くそびえている。新横浜駅を挟んで北側の街並みは、新幹線開業(1964年)以前の面影をほとんど残していない。

それとは対照的に、この場所では地域のシンボルでもあった郵便局を建て替えるのではなく、建物を残して活用することで、その景観とともに地域の記憶までも継承している。その価値の尊さを改めて感じた。

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