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[歴飯_198]カフェ ビブリオテカ


JR逗子駅東口から銀座通り商店街を抜け、海へと続くシンボルロードに入る。逗子海岸の手前から逗子開成中学校・高等学校方面に向かう小径は「屋敷通り」と呼ばれ、かつては多くの別荘が軒を連ねた一帯である。沿道には現在も「黒門カルチャークラブ」のような別荘時代の門構えを遺す文化施設や、旧別荘を活用した「松汀園」([歴飯_70] KKR逗子 松汀園)のような宿泊施設が点在している。そんな「屋敷通り」の途中から披露山の山裾に向かって小径を入ると、立派な石垣と生垣の奥に建つ平屋の古民家「カフェ ビブリオテカ」が見えてくる。



石段を上がると、左手に竹垣が玄関まで続く。平屋の古民家は外観こそシンプルだが、背後の披露山を借景に、逗子の原風景のような風情ある佇まいを見せる。玄関脇には縁側に向かって下地窓(「竹小舞」と呼ばれる土壁の骨組みをあえて露出させる小窓)が開けられており、内外の気配を柔らかくつなげている。



玄関を入ると、正面に連なる大阪格子戸(光や風を調節できるよう、一段ごとに障子が外せるよう作られた伝統建具)が目を惹く。戸を開けて店内に入ると、低い天井と黒く塗られた柱や梁、そして窓から射す陽光が店内に美しい陰影をつくっている。店内の仕切りの位置を見ると、4つの部屋を建具で区切る田の字型の平面をしており、伝統的な民家に見られる「四間取り」となっていることが分かる。



店主によると、かつてはもっと海に近い場所に建てられていた民家を曾祖父がこの場所に移したもので、築150年ほどは経っているのではないかとのこと。これまで何度か手を加えながら住み継いできたが、次の改修時期を迎えたことを契機に、カフェとしての公開を決めたそうだ。玄関に近い和室2間を板張りに改修して客席とし、座敷となる和室は曾祖父が生活していた頃の姿に復元し、見学できるようにしている。店名のとおり、店内各所に美術や歴史などの本が置かれており、手に取って眺めることもできる。



同店では週替わりのランチメニューを提供しているが、今回は定番メニューとなっている「サラダプレート」を注文した。地場野菜と厚切りベーコンに、塩麹とニンジンを使用した自家製ドレッシングをかけた一品で、自家製のフォカッチャがセットになっている。ほんのり甘みのある優しい味わいのドレッシングが野菜やベーコンの旨みを引き立て、フォカッチャとの相性も良く、満足感のある一皿となっていた。

海水浴客で賑わう夏が過ぎれば、静かな秋が訪れる。別荘地の風情を辿って逗子の海辺を散策しながら、足を延ばしてみても良いのではないだろうか。

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