top of page

[歴飯_48]えれんなごっそ [歴鉄_05]箱根登山鉄道モハ1形107号 | 小田原市・鈴廣かまぼこの里

更新日:2021年1月9日


箱根登山鉄道で長年活躍し、令和元(2019)7月に引退したモハ1形107号が小田原市の「鈴廣かまぼこの里」内に設置され、新たな施設「えれんなごっそ CAFE107」の一部となって保存されている。

「鈴廣かまぼこの里」は箱根登山鉄道風祭駅付近の博物館、直売所、レストランなどを併せ持ついわば「かまぼこのテーマパーク」と呼べるエリアで、慶応元年創業の蒲鉾製造販売の老舗、鈴廣が各施設を経営している。

「えれんなごっそ CAFE107」もそのうちの一店舗で、モハ1形107号が設置される前までは「箱根ビールshop」という店名であったが、同車輌の移設にあわせ、店名を変更、メニューや内装も同車輌や箱根登山鉄道をモチーフとしたものにリニューアルされた。

メニューには、鈴廣オリジナルブレンドコーヒーや箱根ビール、オリジナル「登山電車ケーキ」「かまぼこピンチョス」など魅力的なものがたくさんあったが、今回はその中から「シーセージ焼きパン」「シーセージ揚げパン」「アイスティー」「小田原みかんサイダー」を選びオーダーした。車輌の前のテーブルで車体の外装を眺めながらいただくこともできるが、この店では車内でもいただくことができるのが嬉しい。

車内は現役時代の設備や103-107号引退運行「サンナナさよならイベント」時の装飾を各所に残している。通路部分に設けられているおり、テーブルに注文した品を置きロングシートに腰をかける。

乗務員室も窓越しに見学できる。シートは平成21(2009)年より採用された、箱根の伝統工芸である箱根寄木細工をモチーフにデザインされた柄。寄木細工の繊細で細やかな模様がよく再現されている。

モハ1形は1919(大正8)年にチキ1形として登場した後、戦後の昭和25(1950)年頃に鋼製車体へと姿を変え、昭和27(1952)年頃に車両形式をモハ1形に変更。昭和32(1957)年頃、小田急電鉄のロマンスカーをイメージしたカラーに塗り替えられ、その後の2両固定編成化工事などを経て、約100年にわたり運行された。107号は103号と編成を組み、旧式の吊掛け駆動方式を用いた貴重な車両ということもあり多くの鉄道ファンに愛されていた。

引退後、譲渡式を経て、令和元(2019)年8月9日に「鈴廣かまぼこの里」へ搬入された。車両全体を屋根で覆い、実際に箱根登山鉄道で使用された線路上に設置されている。車内だけではなく、圧着式の保安ブレーキや急カーブやポイント通過時、レールと車輪の摩耗を防ぐ散水装置などの床下機器も間近で見られる。これらは、歯車で補助せず、通常の車輪だけで走る鉄道としては日本一、世界でも2番目の急勾配を走る箱根登山鉄道ならではの機構であり、一見の価値がある。

ついつい車輌に見入ってしまうが、持ち込んだパンを頬張ってみる。さすが蒲鉾の鈴廣だけあって魚のすり身を使ったシーセージもしっかりした味で主張しながら周りのパンとよくあっていて美味しい。小田原みかんサイダーがさらに後味をスッキリさせてくれる。

箱根登山鉄道が神奈川を代表する観光地の一つである箱根の発展に寄与したことは議論の余地がない。一方で、その開通には幾多の困難があり、開通後も関東大震災による被災、経営難、近年でも台風被害による不通など、度重なる試練とその克服の歴史でる。平成19(2007)年には、その歴史、文化、土木的価値が認められ「小田原~強羅」間全線が「選奨土木遺産」および「近代産業遺産」となっている。この車輌では、おいしいものをいただき、展示を見ながらその歴史を知ることもできる。

車輌から戻り「えれんなごっそCAFE107」の店内を見渡す。箱根登山鉄道オリジナルグッズや地ビール、地産の果実を使ったドリンクなど、箱根ゆかりの商品も多数販売されている他、ここでしか買えないサンナナグッズも売っている。箱根・小田原観光の際に是非寄っていただきたい。

なお、店名の「えれんなごっそ」はイタリア語のようであるが、「いろいろな」を「えれんな」、「ごちそうさま」を「ごっそさん」という小田原言葉が由来とのことである。まさに「えれんなごっそ」な体験であった。





閲覧数:89回0件のコメント
bottom of page