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[歴飯_82]かねよ食堂



明治9(1876)年、フランス人技師ヴェルニー指揮のもと、日本の近代化が始まった横須賀製鉄所(後の造船所)の用水として使用したことに始まる走水水源地の先を走水海岸に沿って進み、破崎緑地に突き当たる手前に堤防に渡る桟橋がかかっている。その桟橋の基部の浜辺に面して佇んでいる漁師小屋のような建物がある。

今回、訪れたのはこの漁師小屋をリノベーションしたレストラン「かねよ食堂」である。

外観はお世辞にも綺麗とは言えないが、錆びたトタン屋根と南国風の草木がビーチリゾートのような風情となって迎えてくれる。

思い木製扉を開けて中に入ると、店内は、大まかにキッチンのある大部屋、サンルーム、テラスに分かれていて、アート系の装飾、エスニックな置物などが所狭しと並べられている。



明るく招き入れてくれた店員に促されて、テラスのテーブル席に通された。テラスの中央にはストーブがおかれ、周りは透明のビニールで囲われており、眼前に走水海岸の浜辺が広がる。まさにオーシャンビュー。

水とメニューが運ばれてきた。メニューには、ランチセットの他、前菜、ドリンクと豊富なメニューが取り揃っている。昼時だったので、サイドとスープが付いているランチセットから選ぶこととした。「三崎産マグロ小頭のロースト」「スパイシーチキンディッシュ チリ・チボトレ」「自家製若布の佃煮ときのこのピザ」「本日のカレープレート」の4種から「自家製若布の佃煮ときのこのピザ」を選んで、ベリーとトニックを使ったソフトドリンクとあわせて注文した。



テラスの外の砂浜にもパラソルとテーブルが並んでおり、オープンエアのデッキもある。天気の良い日や夏場には、外でBBQを楽しむ人も多いらしい。

この日は少し、風が強く、遠く千葉・富津まで見渡せる絶景であった。波間で係留されている小さな漁船が揺られている。

注文したドリンクが運ばれてきた。強い日差しが差し込んできて、ベリーの色を透かして抜けてきた。トニックの香りにベリーの酸味が効いたドリンクが、リゾート感をさらに掻き立てた。



しばらくすると、続いてサラダと野菜たっぷりのスープに続いて、「自家製若布の佃煮ときのこのピザ」が運ばれてきた。焼き立てのピザはふっくらしていて、和布の佃煮から磯の香りが立ち上がり、食欲をそそる。

まず一切れ口に運ぶと、和布の佃煮ときのことチーズの旨味が一気に口の中に広がった。美味である。一見小ぶりに見え、一気に食べ進めてしまったが、もっちりした生地は見た目以上に食べ応えがあった。

店主の本業は漁師。もともと海の家であった小屋を引き継いで、自分が採った海藻や魚を調理して提供するレストランとして平成15(2003)年にオープンさせたとのこと。



近代的なビーチリゾートというより東南アジアの田舎漁港の漁師小屋のような鄙びた雰囲気に、絶品の料理という組み合わせのギャップが素敵だ。

ピザを食べ終えたところに、デザートが運ばれてきた。デザートは「紅茶のプリン」。スプーンですくって食べてみるとほのかにミルクティーの香りがした。食感はプリンというよりゼリーに近いかもしれない。ゆっくり景色を楽しみながらデザートを味わった後、店を後にした。

訪問した日は、平日であったが、満席とは行かないまでもかなり客が入っていた。週末や海水浴のシーズンに訪れるならば、予約が必須であろう。予約をしてでも、是非訪れていただきたい。






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