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[歴飯_110]喜泉庵



鎌倉五山第五位の寺格を持つ「浄妙寺」は、かつて鎌倉に塩を供給した横浜市金沢区の平潟湾に続く金沢街道(塩の道)に位置する。そんな古刹の境内には、「喜泉庵(きせんあん)」と名付けられた茶堂がある。ここは、天正年間(1500年代)に僧侶が一同に茶を喫した場所であったが、建物や庭は滅失していた。平成3(1991)年に横浜市戸塚区にあった貴族院議員の別荘を移築し、枯山水の庭と合わせて復興したとのことである。



店内は建具を外した大空間のテーブルと緋毛氈の座席が設けられており、どの席からも庭園を眺めることができる。床の間脇の付け書院の丸窓や透かし彫り、深い庇と縁側(濡れ縁)がつくる陰影、虹梁(こうりょう)、蹲踞(つくばい)等は寺社のようでもあり、近代別荘の風格も感じる。縁側に設けられた竹筒に耳を当てると、水琴窟の音が聞こえてくるのも粋な趣向である。



メニューは、抹茶と上生菓子のセット、抹茶と干菓子のセットの2種のみだが、枯山水の庭園を眺めながら静かな境内で鳥の鳴き声、木々の揺らぎ、室内を抜ける風の音、雨音を聴くのは何とも味わい深い。今回は、抹茶と上生菓子のセットを注文した。秋らしい色合いの練り切りは、優しい味わいで甘すぎず、美味しい。抹茶をいただきながら、季節を体感できる贅沢な時間を過ごすことができた。[歴飯_109]石窯ガーデンテラスと合わせて、立ち寄ってみてはいかがだろうか。



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