[レポート]明治〜昭和戦前期の横浜を映す「今昔写真」と音楽でたどる歴史【THE HERITAGETIMES YOKOHAMA KANAGAWA】
- heritagetimes
- 6月10日
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横浜で撮影された明治〜昭和戦前期の写真や絵葉書を収集し、現在の写真と比較する“今昔写真”を紹介するホームページ「横濱今昔写真」。このサイトを運営しているのが島田翔陽氏であり、氏による講演会「音楽と今昔写真で見る!横浜歴史の積層」が横浜市開港記念会館で開催された。
本講演会は、昭和の名曲を複数のアーティストが披露するコンサートの一環として実施され、歌謡曲をBGMに流しながら過去の横浜の写真を鑑賞するという形式で進められた。
講演では、会場である開港記念会館をはじめ、明治から令和に至る約160年の横浜の街や建物の変遷が写真を用いて紹介された。関東大震災、戦災、戦後復興、高度経済成長期、横浜博覧会など、都市の歴史的な積層を視覚的にたどる内容であった。
とりわけ印象深かったのは、美空ひばりの名曲「港町十三番地」に関する考察である。島田氏は、この「十三番地」が具体的にどの場所を指しているのかを調べるため、図書館で地図や文献を丹念に調査したという。調査の結果、中区港町13番地も山下町13番地もいずれも空き地であったが、その隣には「キリンビールの飲食店」が記載されていたことが地図から確認された。歌謡曲の一節から実在の街をたどり、その背景を読み解く試みは、「港町・横浜」というイメージの検証として興味深いものであった。
島田氏は、趣味として始めた過去写真の収集や文献調査を通して、「本物の横浜を知ってほしい」と語る。日々の暮らしの中で、「この街には何もない」「観光地ではあるが自分には関係がない」といった声を耳にすることは多い。だが、写真や資料から過去のルーツをたどることで、いま自分たちが暮らす横浜に誇りを持ち、日常をより豊かに感じることができるのではないか。今回の講演会は、まさにその再認識の場であった。

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