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[開港5都市]景観まちづくり会議2025神戸大会 第5分科会 分科会5「まちとみち」【THE HERITAGE TIMES YOKOHAMA KANAGAWA】


令和7(2025)年11月30日(日)、「開港5都市景観まちづくり会議2025神戸大会」2日目の朝は、5つの分科会に分かれるエクスカーションで始まる。

それぞれ、分科会1は「景観ルールが具現化された街並みを見て歩いて、考える」、分科会2は「宗教と景観~多文化共生のまち神戸を歩く〜」、分科会3は「『”あの日”を歩き、“あす”を描く』-記憶と景観で考える防災まちづくり -」、分科会4は「『水と酒と癒しの旅路』癒しと文化を結ぶルート 魚崎郷~有馬温泉」、分科会5は「まちとみち」をテーマとしており、[THE HERITAGE TIMES YOKOHAMA KANAGAWA]は各分科会に参加した。

分科会5では、都心周辺の「まち」の抱える課題を「みち」を使いこなすことでどう解決するか。三宮から元町、神戸を巡るまち歩きの中で神戸において実践している実例と現状の課題を見ながら、ディスカッションを通して考えることを目的としている。


撮影:岩本諭氏
撮影:岩本諭氏

阪急神戸三宮駅東口「サンキタ広場」に、事務局を含め約30名が集合した。

まず、三宮中央通りまちづくり協議会の永田泰資氏から、2021年にリニューアルされたサンキタ広場と本分科会の趣旨説明が行われた。「広場は、高さの異なるベンチがあり年齢問わずに利用できる空間が特徴。設計は神戸出身の津川恵理氏によるもの」「まちの課題を『みち』を使うことでどう解決するか。実例と現状の課題を見ていただき、ディスカッションを通して他都市からの意見をいただきたい」との説明があった。


撮影:岩本諭氏
撮影:岩本諭氏

サンキタ通り

道路空間の一部をカフェのテラス席などに活用し、にぎわいを作り出している。これは歩行者の利便性を高める国の制度「歩行者利便増進道路(通称:ほこみち)」として、神戸市が全国で初めて指定を受けたものだ。


撮影:岩本諭氏
撮影:岩本諭氏
センタープラザ

闇市の名残である高架下の商店街を抜け、商業施設「センタープラザ」へ移動した。1970年代に開業し、阪神・淡路大震災からも復興した建物であり、今回は3階の通路を見学した。ここには木を用いたベンチや、小屋のような囲まれた空間がいくつも設置されている。本来であれば人通りが少なくなってしまう場所に、学生と共にこれらの空間を制作した井上小矢香氏より解説があった。「街中で休憩できる場所を作った。昼休みにランチを食べる人がいたり、学生が休憩したりしている。一方で、ごみの放置や汚損といった維持管理上の課題もある」という。


撮影:岩本諭氏
撮影:岩本諭氏
三宮中央通り

街灯に一箇所、「ここから元町」と表示されたフラッグがある。裏面には「ここから三宮」との表記。これは今年10月、綱引きでまちの境界を決めるイベントを初開催し、元町チームが勝利したことで境界が決定したものだ。

そのまま中央通りを歩き、車道の一部の停車帯に机やベンチ、植栽を設置した「KOBEパークレット」や、イベントスペース「三宮プラッツ」を見学した。神戸市の参加者によれば、40年ほど前は車が非常に多く、路上駐車が当たり前の景色だったという。


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三宮プラッツ

地下駐車場入口前と階段部分の半地下空間を活用した、神戸市所有の道路空間である。この場所をイベントスペースとして運営委託されている株式会社トーハクの市橋英紀氏から解説があった。「家族で楽しめるデパートの屋上のようなイメージで、アート、音楽、福祉、子供向けなど様々なイベントを行っている。夜にはお酒を楽しめるイベントもある」とのことだ。


撮影:岩本諭氏
撮影:岩本諭氏
multi-BASE

大丸神戸店方面へ移動すると、五差路交差点前の空間におしゃれなコンテナハウスが設置されていた。この施設は三宮中央通りまちづくり協議会が主体となって運営しており、1週間単位で利用できるレンタルスペースとなっている。


撮影:岩本諭氏
撮影:岩本諭氏
元町商店街

大丸神戸店の先から、1丁目から6丁目まで続く神戸元町商店街のアーケードが始まる。約1.2kmにわたり約300店舗が連なる商店街で、昨年「元町通り」と命名されて150年を迎えた。大正2年には日本初のアスファルト舗装がなされた道路だが、現在はレンガ敷きとなっている。通りに並ぶ「スズラン灯」のデザインが町会ごとに異なっているのも特徴だ。途中、南京町の名店「老祥記」の豚饅頭がおやつに提供された。かなりの人気店だが、並ばずに熱々を味わうことができ、参加者からも喜びの声が上がった。


撮影:岩本諭氏
撮影:岩本諭氏
昼食

乙仲(おつなか)通りを歩き、昼食は「エスタシオン・デ・神戸」にてハンバーグや海老フライのプレートをいただいた。支配人の古賀野氏より「神戸らしい洋食メニューを楽しんでほしい」との挨拶があった。


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昼食後は古賀野氏の案内により、ハーバーロードを歩いてJR神戸駅南口へ向かった。神戸駅南口から元町商店街周辺を含む北側エリアは、現在再整備が計画されている。

「駅南口の前には海側のハーバーランドへ続く大きな地下入口があり、人流のほとんどがそちらへ向かってしまう。北側へ行けば元町商店街があり、途中には蒸気機関車の展示や『きらら広場』があるが、人流が少ないのが課題だ」と説明された。


撮影:岩本諭氏
撮影:岩本諭氏
蒸気機関車D51

神戸駅南口から徒歩数分の場所に展示されている。当日はちょうどクリスマスデコレーションの作業中で、これらはD51のファン有志による飾り付けだという。


撮影:岩本諭氏
撮影:岩本諭氏
きらら広場

植栽とベンチがある小規模な広場だが、地元からも「ここで待ち合わせをしたいと思わない」といった厳しい意見があるという。「キッチンカーのイベントなどを行っているが、今後はより魅力的な広場にしていきたい」と語られた。


撮影:岩本諭氏
撮影:岩本諭氏
ディスカッション

まち歩きを終え、元町商店街6丁目から「こうべまちづくり会館」に入り、グループに分かれてディスカッションを行った。他都市からの感想やアイデアなど、活発な意見交換がなされた。なかでも「D51を立てる(直立させる)」というユニークな意見が印象的であったが、これについてはVRなどで実現可能ではないかといった議論も盛り上がった。また「子供やペットと楽しめるイベントや設備がさらにあると良い」といった提案も出された。


撮影:岩本諭氏
撮影:岩本諭氏

神戸市における「みち」を活用した多様な実例を詳しく見学することができた。ディスカッションを通じて他都市の事例にも触れ、みちの使い方・使われ方によってまちの印象が劇的に変わることを実感した分科会であった。



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