[歴飯_54]ツキコヤ 山の上店

追浜駅方面から車一台がやっと通ることができる急な坂道を登りきった山の頂にツキコヤ山の上店はある。続く塀の無い、やや唐突に現れる棟門の引き違い戸を開けて、その先の苔むす石段を数段登ると店の入口がある。中に入ると大きめの玄関となっており、そこで靴を脱いで座敷に上がる。 玄関正面のカウンターにいる店の方に予約した旨を伝えると、好きな席に座って良いとのことだったので、手前の広間の中央に置かれたテーブルを選んだ。

8種類のランチメニューからビーフシチューを選んだ。ランチメニューには全てサラダ・スープ・飲み物が付いている。 飲み物もいろいろ選ぶことができるが、特にコーヒーは豆の種類、淹れ方もハンドドリップかフレンチプレスかなど、自分好みの選ぶこともできる。 また、デザートも追加でオーダーすることができる。 コーヒーは深煎りのブラジルのハンドドリップ、デザートにチーズケーキを頼んだ。

もともと和食店として使われていたという、数寄屋造りの店内を見渡すと、和室を仕切っていた建具が取り外され、丁寧にリノベーションされた空間に、温かみのある照明や肌触りの良い家具が置かれいる。 縁側越しには、追浜の街が一望できる。改めて、この場所の標高の高さが確認できる。 縁側の突き当たりには、建物から突き出すように焙煎室があり、本格的なコーヒーロースターが置かれていた。ツキコヤのコーヒーはここで焙煎士でもあるオーナーによって焙煎されている。しばらくするとテーブルにビーフシチューが運ばれてきた。 ビーフシチューはよく煮込まれており、深い味わい。お肉はスプーンで切れてしまうくらいの柔らかさ。ジャガイモ、ニンジンも程よい固さでシチューにごろっと存在感を示している。

外の景色を楽しみながら、ゆっくりと味わっていると、淹れたてのコーヒーの香りが漂ってきた。 ビーフシチューを食べ終えるのを見計らって、コーヒーとチーズケーキが届いた。 苦味とほのかに酸味が効いたコーヒーに、甘さを抑えしっとりとしたチーズケーキがよく合う。コーヒーを一口、チーズケーキを一口とゆっくりと食べ進めた。 コーヒーの後味を噛みしめながら、デザートを終えたあともゆったりとした時間を楽しんだ。 ここ来る途中には、来る者に「覚悟」を求めてくる坂道があるが、その覚悟を後悔させない、素敵な時間を提供してくれる、追浜で一番月に近いカフェ。是非、訪れていただきたい。


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