鎌倉市長谷、長谷寺裏手から御霊神社に向かう小径を住宅地側に入ると大きな屋根のある古民家が見えてくる。岐阜県白川郷より移築された合掌造りの古民家は、古都鎌倉の地で複合施設「WITH KAMAKURA」として新たな船出を迎えた。
門を入るとゆったりとしたアプローチの先に急勾配の屋根が特徴的な合掌造りの大屋根が見えてくる。左手は庭となっており、ハーブを中心としたボタニカルガーデンとなるそうだ。
玄関先に掛かる暖簾は、京都友禅の老舗「千總」の手によるものだそうで、深い色合いが古民家の放つ風情と良く合っている。
暖簾をくぐり店内に入ると、右手にカフェカウンター、左手に庭を望む開放的な座席が設けられている。庭に向かって座席との延長にデッキも設けられており、窓を開け放てば古民家の縁側のように暖かい季節には庭と一体的に利用できる設計が素敵である。深い飴色に輝く柱や梁の古材と土間のような床タイル、店内各所配された、かつて古民家で使われていたのであろう古道具等(囲炉裏で使われていのであろう魚の飾りが付いた自在鉤や手の込んだ獅子の彫り物、電話交換手がいた時代に使われていた電話機)のインテリアが素敵な空間を創り出している。合掌造りの特徴である屋根裏の大空間を活かし、2階は座敷のコワーキングスペース、3階にはフローリングのスペースが入る。現在3階ではヨガ教室が行われているそうだ。
カフェカウンターで注文を済ませ、窓際のテーブル席に着く。今回は、七里ガ浜に店を構えるハワイアンベーカリー「Pacific BAKERY」のチャイシナモンのロールと珈琲にココナッツ等を加えたBullet Coffee(ココナッツ)を注文した。シナモンロールは弾力ある生地にチャイが仄かに香り、美味しい。Bullet Coffeeの優しい甘さとも良く合っていた。
今回はプレオープン期間ではあったが、今後の展開が楽しみである。令和5年1月15日のグランドオープン時には、庭に芸術家栗林隆氏が手掛ける野生の植物やハーブをスチームとして体験する空間「stump 001 kamakura」もオープンするそうだ。長谷の新たな拠点として、鎌倉に立ち寄った際には、是非来訪いただきたい。
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