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[開港5都市]景観まちづくり会議2022新潟大会 - 07 分科会3「新潟市民も知らない湊新潟のディープ下町隠れた歴史巡り」【THE HERITAGE TIMES YOKOHAMA KANAGAW-

更新日:11月13日



令和4(2022)年9月24日(土)、「開港5都市景観まちづくり会議2022新潟大会」2日目の朝は、5の分科会に分かれるエクスカーションで始まる。

THE HERITAGE TIMES YOKOHAMA KANAGAWAは、分科会1 「開港場新潟の底力-米・人・学問-」、分科会2「過去と未来が醸すまち」、分科会3「新潟市民も知らない湊新潟のディープ下町隠れた歴史巡り~全国有数の遊郭街跡と廻船問屋街を歩く〜」、分科会4「食・町・文化をワイワイ巡る湊町新潟古町の新旧よいとこ探訪」、分科会5「水辺景観を活かしたにぎわい空間を創出する都市未来像~国際MICE CITYを目指して〜」の全ての分科会に参加した。


分科会3のテーマは「新潟市民も知らない 湊新潟のディープ下町 隠れた歴史巡り」

しも本町と呼ばれるエリアをメインに、かつて栄えた三業地新潟の花街・遊郭や商店街を活用し町興しを行うカフェの事例等を、まちを回遊しながら学ぶ内容となっている。


<コンバインドカフェ五徳屋十兵衛>

各都市から20名ほどが集合したのは「フレッシュ本町商店街」にあるカフェ。先ずはツアーの案内人である若木立也氏(任意団体地域創造にいがた社中 副代表)より「新潟は杉と男は育たないという定説がある。娼婦遊郭も存在したがあまり新潟人でもよく知らない。遊郭跡等を活用したこのカフェの案内とサプライズありのツアーです。」が説明あった。 


若木立也氏(任意団体地域創造にいがた社中 副代表)


次にカフェのマスター宮原務氏(合同会社五徳代表社員)とプロデューサーの和田冨美氏からカフェの成り立ちを聞いた。

元々は宮原氏が、高齢化が進む地元にみんなの居場所を作りたいと平成29(2017)年にオープン。囲碁サロンやマクロビ食品の販売、猫カフェ、レンタルスペース等をしている内に、アイドルを目指す若者が多いと知り、コスプレや変身写真サービスを始めたという。和田氏は関東の出身で学生時代は写真を学んでいたが、結婚を機に小千谷市の美容室へ嫁いでいる。そこでは数十万円でヘアセットや着付けを行い、県内の大会では優勝するほどの腕前だったという。そんな中、京都の有名変身写真館からUターン就職で入ったカメラマンに値下げを説得され(かなり葛藤があったそうだが)、今では衣装レンタル、メイク、撮影等全て含めリピートできるように3万円から受けている。スタッフについては、会社員時代に法務部にいた宮原氏が個々に契約書を交わし業務委託契約にしている。また海外のインフルエンサーからも人気に火がつきコロナ前までは世界中からお客が来ていたという。しかも集客は全てスマホ1台で行われており、登録カメラマンは150名以上、モデルも20名程度に。さらに県の助成金を用いて湯沢市への冬のフォトツアーも行ったというから驚きである。カフェで実施するコンテストも参加者の腕を磨くモチベーションにもなっているという。


宮原務氏(合同会社五徳代表社員) フードメニューも充実


一見すると何処にでもありそうな喫茶店の様だが、今でも年金生活や生活保護のお年寄りがコーヒーやお酒1杯で何時間も過ごすカフェでもあり、時には男装カフェ、大正ロマンのメイド喫茶にもなる。正に多彩なコンバインド(複合型)カフェだ。

撮影場所もユニークだ。商店街にコスプレに関するアンケートを取ったところ反対は1件だけ。廃業したスーパーの店内や屋上等、なかなか撮影が難しい場所を利用できるようにしたところコスプレイヤーに人気となった。また唯一残っている遊郭跡も撮影スポットとし活用している。全国放送のテレビ番組にも取り上げられた動画を鑑賞した後、実際に花魁ヘアセットが披露された。モデルは2人のお子さんがいる主婦を和田氏がスカウトした新潟美人。花魁の特徴あるこの伊達兵庫髷は段ボールを用いて手作りするなど工夫が凝らされている。


和田氏と花魁モデル 手際よいヘアセットを披露


<スーパーマーケット廃墟>

宮原氏と共にカフェを出て、朝よりも小雨になった屋外へとまち歩きを開始した。撮影スポットとして利用している廃業したスーパーマーケットへ移動。鉄筋コンクリート造5階建で奥側の上階は居住用マンションとなっている。「カフェの隣という立地の為、所有者から鍵を預かっているが、現在は所有者と音信不通。マンション内に二世帯居住しており、不具合が発生した際の対応をしている。」とのこと。階段で屋上まで登ると、この後に行く旧小澤家住宅や遠くの松林の間に日本海も少し見えた。


スーパー店内の廃墟の雰囲気が人気の理由

屋上の撮影スポット コスプレイヤー達が撮影を楽しんでいた

<宿泊施設OTONARI>

移動中に国登録有形文化財の蔵と木造が繋がった民泊施設(高須家)の外観を見学。一日一組限定、しもまち初の民泊施設。格子戸から屋内を覗くことができた。蔵は築140年以上。


<旧小澤家住宅>

江戸時代から活躍した商家の店舗兼住宅で平成14(2002)年に小澤家から新潟市へ寄贈された。新潟市指定有形文化財。土地500坪、建物260坪。ここではガイドボランティアの若杉氏に案内していただいた。道具蔵の窓に残る焦げ跡等から明治13(1880)年8月の大火以前の建物と推測される。主屋は、せがい造り・窓付き雨戸・張り出し二階といった新潟の町家の特徴が見られる。作庭者は不明だが松島の借景を模したとされる庭園も素晴らしかった。



<港料理 魚や 片桐寅吉>

12時も近くなり、お腹が空いてきたところで旧小澤家住宅から100m程先の昼食場所へ。江戸時代から漁業を営む網元の片桐家。今も「新潟中央水産市場株式会社」の名で新潟の漁業を支えている。その自邸を飲食店として令和2(2020)年に開店したばかりの店だ。水産会社直営なので、イカの天ぷら付きの海鮮丼は、どのネタも新鮮で、美しい日本庭園を眺めながら舌鼓を打った。



<旧五十嵐家住宅> 昼食の後は再度フレッシュ本町商店街を北へ歩き遊郭跡の旧五十嵐家住宅へ向かった。屋号は「イトゲン」。この辺りは十四番町遊郭と呼ばれる不夜城であった。

2階へ登り、道路側の部屋へ入ると、美しい花魁が傘で顔を隠して待っていた。午前中に五徳屋十兵衛でヘアセットを披露したモデルがスタンバイしており、傘をずらして顔が見えると参加者は皆驚きを隠せない様子で「わぁっ!」と歓声が漏れた。部屋の天井のシミや古ぼけた畳もあえてそのままにしているせいか、まるで時間が止まったかのような不思議な世界だ。言うまでもなく記念撮影会が始まり各々に法被や小物を用いて、撮影を楽しんだ。



建物は、客同士が顔を合わせないように階段が2箇所設置されていたり、新人さんが勉強するために部屋の間の押し入れが筒抜けになっていたり(こっそり覗かせていただいてた?)と特徴ある造りを知ることができた。多くの参加者にとって、実際の遊郭に入るのは初めてである。当時の女性たちがたくましく生き抜いてきた証に触れることができたと感じた。

外に出て、振り返ると2階から手を降る花魁の姿があった。



<入船地蔵尊 千体地蔵>

花魁撮影の後はさらに北へ進み「浄信院」へと移動。ここから解散までは新潟シティガイド代表の神田氏が案内。入船地蔵尊には佐渡から渡来した石仏のご本尊と日本各地から奉納された金色地蔵立像が1500体程安置されている。

遊女たちは日和浜で海水浴をしたり、おおらかに町の人と交流していたという。きっと遊郭の女性も町の人も一緒にお詣りをしていたのだろう。



<早川堀通り>

昭和39(1964)年新潟国体に合わせて、川と海から運ばれる荷を運搬する為に張り巡らされていた堀割は、全て埋め立てられている。現在は堀に由来する地名がたくさんある。昭和60(1985)年頃には市民から「堀割を再生できないか?」との声が出始めた。早川堀通りは試行錯誤を重ね地域の防災拠点になる仕組みも取り入れて堀の雰囲気の再現がされている。



<湊稲荷神社>

かつての船つなぎ場近くにある神社で、船乗りの信仰を集めた。台座の上で回すことのできる願掛け高麗犬がある。女の人は左、男の人は右の高麗犬を回す。なじみの北前船船頭たちが湊にとどまるよう遊女たちが高麗犬を回し願掛けしたと伝えられる。出航できないよう、西風が吹くように高麗犬を西向きにしたとも伝えられている。



<新潟市歴史博物館みなとぴあ>

湊稲荷神社から東へ300m程移動して最後の目的地に。移築復元された旧第四銀行住吉町支店や博物館、旧新潟税関庁舎など複数の施設が集まる場所である。堀割のある景観や建物は歴史を感じる佇まいであった。15時となりここで解散し、博物館は自由見学となった。



<まとめ>

歴史を生かして進化し続けるカフェによるまちおこしの事例や、実際に遊郭跡を見学できる貴重な分科会であった。筆者も海外アジアで変身写真をリピートしているが、カフェの和田氏が「写真の力を信じている」「目的があれば距離は関係ない」と語っていたのがとても印象的だった。


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【新潟市HP - 開港5都市景観まちづくり会議2022 新潟大会】

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