[開港5都市]景観まちづくり会議2025神戸大会 - 11 全体会議Ⅱ【THE HERITAGE TIMES YOKOHAMA KANAGAWA】
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令和7(2025)年12月1日(月)、「開港5都市景観まちづくり会議2025横浜大会」3日目、神戸大会最後のプログラムである「全体会議II」はANCHOR KOBE(アンカー神戸)のイベントスペースにて、曹祐仁氏(南京町景観形成協議会)の司会進行ではじまった。
会場のANCHOR KOBE(アンカー神戸)は神戸市が開設し、神戸新聞とトーマツが運営する会員制ビジネススクエアである。令和3(2021)年4月にオープンした神戸の新ランドマーク「神戸三宮阪急ビル」15Fに位置している。神戸三宮阪急ビルは、阪神・淡路大震災で被災・解体された旧神戸阪急ビル東館(1936年竣工)のデザインと記憶を継承するため、低層部にその特徴的な円筒形やアーチ窓を再現している。
分科会会報告
分科会1「景観ルールが具現化された街並みを見て歩いて、考える」足立大輔氏(美しい街岡本協議会)

景観を大切にして賑わいをもたらしている旧居留地と岡本の2地区の景観ルールと実際の街並みを比較し、「景観ルールが具現化された街並み」を確認した。また、参加者が自身の地域での取組、課題に感じていることなどを出し合い、その解決策、各自の景観まちづくりに対する考えなどの議論を交わした。
分科会2「宗教と景観〜多文化共生のまち神戸を歩く〜」若山理蘭氏(北野・山本地区をまもり、そだてる会)

北野エリアに点在する宗教施設を巡り、「ご近所さん」として多宗教が寄り添い共存する神戸の魅力を体感した。普段は入れない施設にも特別にご案内いただき、関係者の貴重なお話を伺うことができ、参加者の満足度は非常に高い様子であった。宗教を固定的なイメージで見るのではなく、「出会って、知って、理解する」ことで自然とフラットに向き合える学びが生まれた。最後のワークショップでは、1日を通して感じたことや今後チャレンジしたいことを参加者にアウトプットしてもらい、異文化共生への理解をさらに深めた。
分科会3「『“あの日”を歩き、“あす”を描く』一記憶と景観で考える防災まちづくりー」白石克憲氏(新長田駅北地区東部いえなみ委員会)

震災から30年。前回の横浜大会の防災の分科会を引き継ぐ形で実施した。「人と防災未来センター」での震災追体験、灘駅周辺、新長田北地区の街歩きを通し、復興過程を見学し、ディスカッションでは、各地域の皆様に防災のあり方を再考していただいた。また、各地域から防災と景観に関する取り組みを共有し、これからの防災のありかたを模索した。震災後の復旧、復興にはコミュニティ、コミュニケーションが重要だということが共有された。震災の時にもモロゾフのプリンの器は割れずに食器として使われたというエピソードにちなんでご賞味いただいた。
分科会4「『水と酒と癒しの旅路』癒しと文化を結ぶルート 魚崎郷~有馬温泉」山本真吾氏(魚崎郷まちなみ委員会)

魚崎での酒蔵見学と宮水に関する講話は、特に皆さんが感銘を受け、非常に内容の濃いものであった。宮水は灘の酒造りには欠かせない、質の高い水であるため、その重要性や背景について深く学べた。有馬でのまちの紹介と温泉についてのレクチャーも、「また訪れたい」と思わせる魅力的な説明ができた。有馬温泉は日本三古湯の一つとして知られているため、その歴史や効能について興味深い話がたくさん伺うことができた。
分科会5「まちとみち」永田泰資氏(三宮中央通りまちづくり協議会)

まち歩きでは、サンキタ広場から神戸駅までのまちの取り組みが、三宮中央通り、元町商店街、ハーバーロード神戸駅までの3つの街をメインにゲストを変えながら「してきたコト」が詳しく語られた。その後のディスカッションではまちの課題に対して5都市それぞれの視点で「これからすること」への意見をいただくことができた。
FG企画(前編)「若手からレジェンドに聞く開港5都市」・FG企画(後編)「これからするコト」植村一仁氏(コネクト神戸)

これまでの活動を支えてきた「レジェンド」から、なぜ会議を始めたのか、どのような思いで活動してきたのかを語ってもらい開港5都市景観まちづくり会議の「してきたコト」を振り返った。開港5都市景観まちづくり会議は、神戸の4市民団体から始まり12団体へ広がった。長崎の居留地祭りや、函館・新潟・横浜との交流を通じて行政と市民が連携して景観を守ってきた。新潟大会で行程を1泊2日から2泊3日にしたことや、北野インフィオラータで新潟がチューリップを提供した事例なども継承の象徴であり、若手の新しい発想による商品化や都市全体を巡る視察など、今後への期待がレジェンドから語られた。
後編ではFG企画前編で語ってもらった「してきたコト」を尊重しつつ開港5都市景観まちづくり会議を新しい時代に対応した活動へ転換するためのプロセスとして「これからするコト」について6班に分かれて議論した。開港5都市景観まちづくり会議はポテンシャルが高いという前提のもと、課題として「知名度不足=市民の方へ何をしている会なのか伝わっていない。」、「参加者モチベーションの差=景観についての学びを深めたい人、同窓会気分など様々。」などがあげられた。また、「これからするコト」の中では、「オンライン等で定期的に交流・テーマを細分化(商業、観光、防災など)した定例会を行う」、「常設組織を作る(統一の事務局など)」といった意見がでた。
オプショナル企画I「夜景列車特別運行イベント」御牧氏(神戸市景観政策課)

神戸新交通の協力により神戸市の企画としてスタート。一般参加を含めて62名が参加した(開港5都市会議からは6名)。車内を消灯した夜景列車にて、ジャズの音楽に包まれながら窓外の夜景を満喫した。「ラヴィマーナ神戸」にて特別ディナーを堪能した。
オプショナル企画II「南京町で海鮮中華を楽しむ」頃末灯留氏(南京町景観形成協議会)

曹実行委員長より神戸南京町の歴史、神戸豚まんサミットについての話があったあと、本格広東料理を楽しんだ。美味しい料理、お酒とともに各都市の皆さんとの懇親・交流がさらに深まった。
代表者会議報告 岸田眞悟氏(神戸市都市局景観政策課)

「大会宣言の採択と次回開催都市の決定を行い、来年度の開催都市は長崎に決定した。」
大会宣言(曹英生実行委員会会長)

開港5都市景観まちづくり会議2025神戸大会
大会宣言
開港都市として互いに歴史を重ねてきた5つの都市、函館・新潟・横浜・神戸・長崎。
ここ神戸の地に再び集い、これまで「してきたコト」を振り返り、そして未来に向け「これからするコト」を共に考えた。
過去の歩みの中に刻まれた知恵と努力を「してきたコト」として受けとめ、そこから生まれた経験と絆を未来の力へとつなげるために、市民・企業・行政あるいは若い世代が一体となって議論を重ねた。
そして、これまでの5都市の歴史を礎に、これからのまちの在り方を持続可能で多様性を尊重する「新たな景観まちづくり」として描き出すことの重要性を確認した。
折しも阪神・淡路大震災から30年。
神戸は「再生」から「創造」へと歩みを進め、人と人、地域と地域を結ぶ力を見つめ直してきた。この姿勢は、自然災害や社会変容、人口減少といった現代の課題に向き合うすべての都市に求められるものである。
わたしたちは、5都市それぞれの個性を尊重し、互いに学び、支え合いながら、地域の歴史・文化・人々の営みを未来へとつないでいくことをここに誓い、宣言する。
2025年12月1日
開港5都市景観まちづくり会議2025神戸大会
参加者一同
大会旗引き継ぎ

神戸大会の曹実行委員会会長、森口氏(神戸市都市局景観政策課)から桐野耕一氏(長崎居留地歴史まちづくり協議会会長)、山田氏(長崎市景観まちづくり室長)に大会旗が引き継がれた。
次期開催都市挨拶 桐野耕一氏(長崎居留地まちづくり協議会会長)

来年は長崎が神戸からバトンを受けとる。ちょうど20年前の長崎大会は「長崎さるく博」の年だった。その次の長崎大会は東日本大震災の年で開催も危ぶまれたが「絆」をテーマに開催した。平成28(2016)年は、開港5都市会議のあり方で揺れている時期だったが、平山氏がFG会議を立ち上げて、若い人たちで盛り上げた。次の開催は開港450年の節目であった。そして、令和8(2026)年は「長崎さるく博」20周年ということで、全て大切な節目にあたっている。「是非、来年も元気でみなさまにお会いしたい。長崎でお待ちしております。」と締め括った。
主催者謝辞 松岡辰弥氏(開港5都市景観まちづくり会議2025神戸大会実行委員会副会長)

最初に日程を決めた時には12月にかかるので天気が心配だったが、3日間を晴天で終わることができた。もう一つの心配は(ウェルカムパーティーの)サンバは本当に大丈夫なのだろうかということだったが、これだけインパクトを残せてよかったと思う。来年、是非また皆様と長崎でお会いしたいと思います、3日間、みなさまお疲れ様でした。ありがとうございます。」と大会を締め括った。
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