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[開港5都市]景観まちづくり会議2025神戸大会 - 05 第1分科会 「景観ルールが具現化された街並みを見て歩いて、考える」【THE HERITAGE TIMES YOKOHAMA KANAGAWA】

更新日:2025年12月29日


令和7(2025)年11月30日(日)、「開港5都市景観まちづくり会議2025神戸大会」2日目の朝は、5つの分科会に分かれるエクスカーションで始まる。

それぞれ、分科会1は「景観ルールが具現化された街並みを見て歩いて、考える」、分科会2は「宗教と景観~多文化共生のまち神戸を歩く〜」、分科会3は「『”あの日”を歩き、“あす”を描く』-記憶と景観で考える防災まちづくり -」、分科会4は「『水と酒と癒しの旅路』癒しと文化を結ぶルート 魚崎郷~有馬温泉」、分科会5は「まちとみち」をテーマとしており、[THE HERITAGE TIMES YOKOHAMA KANAGAWA]は各分科会に参加した。

分科会1では景観ルールが街並みにどのように反映されているのかを実際に見て考えるため、岡本地区と旧居留地地区を訪れた。両地区は広告物や建築物の景観ルールを長年運用してきたエリアであり、その取り組みを学ぶことで景観づくりのヒントを得ることが目的である。


第1部:岡本地区

集合場所は神戸市の中心街から電車で約20分の阪急岡本駅。まずは座学の解説を受けるため「本山地域福祉センター」へ徒歩で向かう。分科会の企画と運営は「旧居留地協議会」と「美しい街岡本協議会」の約5人のメンバー。各都市からは約20名が参加した。

座学では行政からコンサルティング業務を委託され、美しい街岡本協議会と共に景観協議を行っている吉本恭子氏(ゼンクリエイト)から説明があった。



岡本地区では「美しい街岡本協議会」が屋外広告物のルールとガイドラインを定め、広告物を設置する際には市役所への届出前に協議会との事前協議が必要となっている。これは、街の人々が望ましくないと感じるラインを検討し、景観を守るために設けられた仕組みである。特に店舗看板については、表面積に対する文字の大きさや比率を協議し、行政からの補助金も利用して是正につなげた事例を説明した。

大多数の出店者は協力的な姿勢を見せてくれる一方で、ルールを知らずに出店するケースもあり、その場合は事後対応を依頼している。屋外広告物の許可は3年ごとに更新が必要で、こうした継続的な運用により景観を維持している。

横浜から参加の六川勝仁氏(馬車道商店街)からは、「行政との協議ではなく地元のまちづくり協議会との協議での是正の成果に驚いた」といった感想と、その秘訣について質問があった。岡本協議会では、協議がうまくいってもいかなくても、その状況を協議会の発行紙に掲載し、地域住民に報告している。商売をするにあたって地元との良好な関係を重視する店舗も多く、協議に前向きに応じてくれているのではないかということだった。



講義後は全員で岡本地区のまち歩きへ向かった。案内は吉本氏と足立大輔氏(美しい街岡本協議会)。

まち歩きでは実際に是正された屋外広告物の事例や、協議していなくてもセンスや景観への配慮を感じる店舗などを巡り、ガイドラインがどのように街並みに反映されているかを確認した。岡本地区は近くに大学もいくつかあり、学生も多い住宅街である。吉本氏は大型店舗より小さくてもセンスある店舗に出店してもらうなど「東京の吉祥寺のような街になればよい」と語り、岡本地区の目指す方向性を示した。


昼食

1時間ほどのまち歩きを終えて、電車で三宮へ移動。松岡ビルで昼食をとる。昼食は明石名産・下村あなご寿司のお弁当。ふっくら香ばしい焼あなごを使ったあなご押し寿司や巻き寿司、いなり寿司が入っていた。おつまみには高級感のあるハム、デザートにはモロゾフのプリンも提供されるなど、手厚いおもてなしを受けた。




第2部:旧居留地地区


昼食後は松岡辰弥氏(旧居留地協議会)の案内で旧居留地地区の景観ルールの講義とまち歩きを行った。

旧居留地地区は商業地区である。開港の歴史を感じる重厚な歴史的建造物が保全され、主にその活用を検討する店舗と協議会との間で景観協議が行われる。震災復興後に復興計画と広告物ガイドラインが策定され、現在は約107の会員が協議会に所属している。昔からのビルオーナー同士のつながりが強く、親睦会を中心に良好な関係を保っていることも特徴である。



広告物のルール設定後、基準に適合しない案件もあったが、市の助成制度を活用して60件以上が是正された。一方で、海外ブランドは各社内ルールの制約があり、協議に応じるにも限界があるという課題もある。松岡氏は「景観はみんなの財産。一度壊れると修復は困難」という認識のもと、協議会が努力を続けていると語った。



説明後は、松岡氏の案内で旧居留地を歩き、歴史的背景と景観ルールの実際を学んだ。

当日は道路をイベント会場にした「旧居留地テラスデイズ」が開催されており、居留地全体が活気に満ちていた。「KOBE Street Piano Kyoryuchi」が常設されており、六川氏(馬車道商店街)や一般参加者による演奏も披露され、交流を深めた。


撮影:福井莉緒氏
撮影:福井莉緒氏

意見交換


まち歩き後、松岡ビルに戻り参加者同士で意見交換を行った。3グループに分かれて参加者それぞれが、「今日一日を通して感じたこと」や自分達の地域での悩みごとや困っていることを共有した。景観形成は地域の合意形成と継続的な取り組みが鍵であることを再認識する時間となった。



まとめ

岡本地区と旧居留地地区、それぞれ異なる歴史と課題を抱えながらも、景観形成に向けた努力が続けられている。今回の街歩きと意見交換を通じて、景観づくりには地域の協力とルールの理解が不可欠であることを学んだ。



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