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[開港5都市]景観まちづくり会議2021長崎大会-10 オプショナルツアー4【THE HERITAGE TIMES YOKOHAMA KANAGAWA】

更新日:9月11日



<オプショナルツアー4 夜も素敵ばい!海と夜景観とサインを巡る450ナイトバスツアー>


令和3(2021)年11月21日(土)、「開港5都市景観まちづくり会議2021 長崎開港450周年記念大会」2日目最後のプログラムは「長崎居留地BAR-GAI&ライトアップさるく」と「夜も素敵ばい!海と夜景観とサインを巡る450ナイトバスツアー」。THE HERITAGE TIMES YOKOHAMA KANAGAWAは、そのうち「夜も素敵ばい!海と夜景観とサインを巡る450ナイトバスツアー」に参加した。

「世界新三大夜景」に認定された長崎の夜景。その夜景観光スポットを堪能できるバスツアーに期待が高まるが、集合時間午後7時少し前に集合場所の出島表橋に着いた時には、まだ生憎の雨模様であった。



ツアーを率いるのは田中剛生氏(長崎県屋外広告美術協同組合・(有)アート長崎)と長崎遊覧バス株式会社のベテランバスガイドさん。会議続きで空腹だった参加者におつまみと飲み物が配られ、少し落ち着いたところで、いよいよバスツアーがスタートする。

田中剛生氏の明るい主催者挨拶と拍手で盛り上がったところで、案内をバスガイドさんに変わると、さすがのプロの流暢なガイドが始まる。



<出島表橋>

出島表橋は史跡保護等の条件から力をバランスさせ片側で33.3mを支えるという構造。遠景からは歴史の風景と調和し、人が触れる細部に至るまで丁寧にデザインされている。さらに、その橋を市民と共に架けるため、設計〜運搬~架橋~完成までのプロセスをデザインし、5,000人を越える市民が見守る中、橋の架橋を街の祭りごととして成立させた。完成後も、市民と共にメンテナンスする活動を継続し、街の資源として橋への愛着醸成へつなげている。現代のインフラの新しい在り方をトータルでデザインは高く評価され様々な賞を受賞している。



<平和公園>

バスは一路、平和公園に向かう。バスガイドさん曰く、「この時間に市内のバス観光は珍しいので稲佐山と女神大橋以外はライトアップが付いているかどうか自信がない。」とのこと。

平和記念公園の西側の坂の途中の駐車スペースにバスを止めて、バスガイドさんを先頭に夜の平和公園へ向かう。

坂を登りきり右手に向かい、原爆投下により倒壊した長崎刑務所浦上刑務支コンクリート製の外塀跡基礎部分に沿って進んだ先の入口を入ると目の前に平和公園願いのゾーンが広がる。正面には平和祈念像がライトアップで浮かび上がる。

像の作者は長崎生まれの彫刻家北村西望、製作費3,000万円は全て国内外の寄付金によって賄われていたことなどの詳しい解説があったほか「プロレスラーの力道山がモデルであると誤解されることも」とのエピソードも添えられた。

広場の舗装部分には、青いLEDのライトが整然と並べられてあり、振り返ると平和の泉、遠く正面には稲佐山のライトアップ。



雨が降る夜の平和公園には我々以外、訪れる人もなく、静かさの中に一直線に結ばれた光の道が、少し緊張感すらある祈りの空間が完成していた。

祈念像前で個々に祈りを捧げた後、平和の泉、世界平和シンボルゾーンへと案内される。各国から寄せられたモニュメントが置かれているが、個々には照明が常設されていないため、「ソビエト連邦やチェコソロバキアなど今は存在しない国のものもあるんです。」とバスガイドさんが案内するたびに、田中氏が手持ちのライトで光を当てるコンビネーションが楽しい。そんな解説を聞きながら、バスに戻った。



<稲佐山中腹>

バスは踵を返して、湾の反対側、稲佐山方面に。頂上を目指すのではなく中腹の道をゆっくり移動しながら、市街地の夜景を臨む。

突如、バスガイドさんが「そろそろハートが見えるんですよ、今日は見えるでしょうか、あっ見えた!」と声をあげたので窓の外をすぐに探したのだが、確認する間も無く建物の影へ。また、視界が開けた時には「ああ残念、時間が過ぎて消えてしまいました。」とのことで、件のハートを確認することは出来なかった。

このハートは夜景評論家・夜景プロデューサーの丸々もとお氏のプロデュースによる世界初の夜景灯による演出で、定時になると10分間、市街地の夜景の中に星座やハートが現れるというもの。令和2(2020)年3月から点灯している。残念ながら次の担当タイミングまで待つことなくバスは進んでしまったが、「稲佐山で幸せそうにハートをご覧なっているカップルのお客様には、あのハートの半分はお墓なんですよって教えて差し上げるんです。」とバスガイドさん。



<女神大橋>

バスは稲佐山の中腹を抜けて、女神大橋に。女神大橋は、長崎港によって分断されている長崎市南部、西部を最短距離で結ぶことで市内中心部の慢性化した交通混雑の緩和及び、長崎港の両岸に分散している港湾施設の連携強化・物流の効率化を図る事を目的とした、主要地方長崎南環状線の一部として建設され2005年12月に女神大橋を含む4km区間が供用開始。2011年2月には長崎自動車道と接続され、新たな幹線道路網が形成された。女神大橋の愛称は公募により「ヴィーナスウィング」。橋長は1,298m(うち斜張橋880m)、斜張橋としては国内で6番目。世界最大級の客船「クイーン・メリー2」も橋下の通過が可能な桁下高65mを確保している。女神大橋のライトアップについては、「主塔」「女神の羽を想像させるワイヤー」「両側の丘陵を結ぶ橋桁」を強調する3種類の照明で構成されており、通常は白色系統を基調とするが、イベント時にはレインボーカラー等、彩り豊かな演出照明で景観に花を添える。日没から薄暮の時間帯にかけては、「つなぐ」という橋本来の意味を、両側から一基ずつ点灯し、中央で光がつながることにより視覚的に演出。夜が深まるにつれ段階的に減光され、23時になると女神が羽を閉じるように両主塔に向かって消灯。光を変化させることで都市における時間のうつろいを表現している。毎時0分から3分間、四季をイメージした色彩で時報を演出。なお、年越しから0時15分まで15分間は色の変化や動きのある演出で楽しませる。

白く輝くゲートのような主塔の間をバスが抜けるように通る。迫力のある夜景だ。



<長崎水辺の森公園>

バスが女神大橋を渡り切るといよいよバスツアーも終盤。最後は、水辺の森公園に立ち寄った。水辺の森公園から左手を見ると、たった今通ってきた女神大橋が光輝いている。

正面を見ると長崎が誇る世界遺産の「三菱重工業長崎造船所ハンマーヘッド型起重機(ジャイアントカンチレバークレーン)」が港の中で浮かび上がっている。ジャイアントカンチレバークレーンは英国マザーウェル・ブリッジ社から輸入され、明治42(1909)年12月三菱造船所飽の浦の艤装岸壁に設置された。昭和20(1945)年8月9日の原爆投下により被害を受けたが、その後、昭和36(1961)年、現在の水の浦岸壁に移設  された。その間、船舶エンジン、船舶プロペラ、船用ボイラーや艤装類、陸用原動機の積み出しに稼働を続け、現在に至っている港のシンボルである。

ハンマーヘッド型起重機から少し、目を右上に移すと、今度は稲佐山山頂の電波塔がライトアップされているのも見える。まさに、ここは長崎の夜景を代表する3か所を一堂に見ることができる場所と言える。



水辺の森公園を後にして、終着地の出島表橋に着いたのはちょうど予定時刻の午後9時ごろ。バスガイドさんとツアーを企画した主催者に参加者一同で感謝の拍手をし、バスを降りた。


<長崎市の夜景景観整備>

長崎市では、平成29(2017)年に世界新三大夜景に選ばれた美しい夜景をもっと魅力的にするための取組みをまとめた「環長崎港夜間景観向上基本計画」を策定した。この「環長崎港夜間景観向上基本計画」に基づき、国の景観刷新支援事業を活用したまちなか約50箇所(眼鏡橋、大浦天守堂、平和祈念像等)の夜間照明刷新事業全体を東京駅などのライトアップを手掛けた世界的に有名な照明デザイナーである面出薫氏+(株)LPAがデザイン。長崎市景観専門監の高尾忠志氏がプロジェクト全体の監修を行なった。

このように街全体の夜景をデザインする取り組みの効果をこのバスツアーで体験することができた。一つ一つのライトアップされた建造物等の美しさはもちろんのこと、全体としてのバランスや、光を点けないコントロールなど、近景から中景・遠景へ繋がる視線を意識した総合化されたデザインが、これまで以上に長崎の魅力を確実に向上させていくものと確信した。


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