令和3(2021)年11月23日(月)、「開港5都市景観まちづくり会議2021 長崎開港450周年記念大会」3日目、午前11時からホテルニュータンダで行われた、「全体会議2」に参加した。
全体会議2は大会全体を通して得た知見や交流を共有し、大会宣言を行い、次年度開都市に引き継ぐ、開港5都市景観まちづくり会議の各大会で大会を締める最後の全体公式プログラムとして開催されてきた重要なプログラムである。司会は末石陽子氏(長崎市)。
分科会報告
まず、前日行われた分科会の様子について報告があり、各分科会で充実した体験、交流ができたことが伺えた。
<分科会1>「営みとつながりが創る 新しい居留地物語~長崎居留地のグランドデザインをめぐる旅~」
・報告:梅元建治氏(一般社団法人ナガサキベイデザインセンター)
「策定したばかりの長崎居留地グランドデザインを検証する全体の行程。急遽雨宿りしながら意見交換会を行った。」
<分科会2>「中国文化の伝来と湊」
・報告:河原廣行氏(十善寺地区まちづくり協議会)
「長崎に最初に来た中国人の生活に視点をあてた案内。後半は雨になり急遽、昼食会場での意見交換となった。」
<分科会3>「風頭山「維新の道」を歩く」
・報告:片山巧氏(風頭公園景観振興会)
「600段の階段を登り風頭山の山頂へ向かい、景色の良い龍馬象の前でライブ。令和の森づくり事業で紅葉の名所にする取組をしているので10年後を楽しみにしていただきたい。」
<分科会4>「 長崎の新名所「南部地区」をツアー~魅力あふれる過疎地域の未来を切り拓く~」
「深堀から野母崎地区を巡り、参加者に街中の観光地とは違うまちづくりについて体験していただき有意義な会となった。」
<分科会5>「平成のアーバン・ルネッサンス構想と令和のまちづくり~大型事業の構想からデザインまで~」
・報告:中野善弘(一般社団法人長崎県建築士会長崎支部)
「意見交換の中でドラゴンプロムナードに対する提案や、長崎水辺の森公園ではもっと水辺に近づけるようにすべきなどの意見もあり大変有意義であった。」
<分科会6>「港市長崎を「土木」で巡る旅」
・報告:江口忠宏(DEJIMA BASE)
「体力勝負、土木目線の分科会。女神大橋の頂部に登頂する貴重な体験もして参加者には満足いただけたかと思う。今後も長崎の土木の魅力を伝えていきたい。」
<分科会7>「女子さるく~みなとまちインスタ部~」
・報告:阿部美和子氏(ナガサキマチナカ女子部)
「長崎市内を電車で移動。「長崎っていいよね。」という声を集めることができた。函館でも再現したい。」
<分科会8>「裏長崎」で「まち登山」~長崎アソビのニューノーマル~」
・報告:平山広孝氏(長崎都市・景観研究所)
「観光地に行かない分科会。まち登山の頂上でテントを張った時に雨が降り始めたが、空き地農園での収穫体験など、参加者がハートフルになれた。市民にも斜面の魅力を伝えたい。」
<分科会9>「茂木地域まるごとホテルプロジェクト構想の未来を描く~アルベルゴ・ディフーゾを目指して~」
・報告:久間氏(長崎市)
「ウェルカムコーヒー、茂木のまったり時間を体験していただけた。後半の意見交換はとても白熱した。」
<分科会10>「都市景観大賞出島、長崎開港の起源長崎・江戸町の岬の歴史と未来~出島・長崎県庁跡地・国道34号線~」
・報告:平山広孝氏(長崎都市・景観研究所)
「座学を中心とした分科会。県庁跡地をどうするかをテーマに意見交換を行った。」
代表者会議報告
続いて嶋本千秋氏(長崎市)から11月22日(月)に行われた代表者会議において、大会宣言の採択、次期開催都市(新潟市)の決定、定例会議と代表者会議に加えてFG会議を規約に盛り込むことが決議されたことが報告された。
大会宣言
続いて、西清副委員長により長崎の歴史と開港5都市の交流への思いのこもった内容が盛り込まれた大会宣言(アピール)が読み上げられ、会場から拍手がおこった。
開港5都市景観まちづくり会議2021長崎開港450周年記念大会大会宣言
時代は16世紀、大航海時代。スペインとポルトガルは競い合うようにして東洋を目指し、
天文18年(1549年)、イエズス会の宣教師フランシスコ・ザビエルは日本・鹿児島に上陸した。キリスト教は広がりを見せ、22年後の元亀2年(1571年)、最初のキリシタン大名となった領主・大村純忠によってポルトガル船が入港し、長崎の地は開港されたのである。
近世の長崎は幕府直轄の唯一の国際貿易港として発達し、独自の町民文化が形成された。幕末安政の開港によりその独占的な地位は低下したが長崎外国人居留地が設置され、我が国の近代化に大きな功績を残した。
明治以降は工業都市化が進んだこともあり、第二次世界大戦では原子爆弾が投下され、多くの命が失われた長崎の街であったが、高度経済成長の波に乗り、造船業や「以西底びき網」
漁業の拠点となって奇跡的な復活を遂げた。
戦後76年、開港から450周年を迎えた開港5都市景観まちづくり会議2021長崎開港450周年記念大会が開催された。
今、全国各地で人口減少や少子化、高齢化などの社会構造の変化により地域を取り巻く状況は厳しさを増している。
さらに世界中に猛威を振るう新型コロナウィルスにより社会全体の価値観が大きく変わろうとしている。こうした中、2021長崎開港450周年記念大会では、ポストコロナ時代の港を活かしたまちづくりをテーマに開催され、5都市の市民が集まり各都市共通の資源である港のさらなる活用とニューノーマルに対応したまちづくりについて熱く意見を交わした。
本大会で得られた知見やアイデア、繋がりを糧にして、各都市の景観まちづくりを一層推進していくとともに、5都市間の結束を強固にしていくことをここに宣言する。
令和3年11月22日
開港5都市景観まちづくり会議2021長崎開港450周年記念大会
記念大会参加者一同
大会宣言後に次期開催都市を代表して石本正幸氏(新潟市景観ネットワーク)から挨拶、大会旗の引継ぎが行われた。
最後に主催者を代表して桐野実行委員長から「」と挨拶があり大会宣言が締め括られた。
来年の令和4年は9月23日(金・祝)・24日(土)・25日(日)新潟市で開催予定。THE HERITAGE TIMES YOKOHAMA KANAGAWA も参加してその模様を伝えていきたいと考えている。
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